ハーラル3世 (ノルウェー王)

ハーラル3世：苛烈王の生涯

ハーラル3世、通称苛烈王（1015年 - 1066年）は、ノルウェー王として1046年から1066年まで君臨した、ノルウェー史に名を刻む重要な人物です。美髪王ハーラル1世から数える4代目の子孫にあたる彼は、オーラヴ2世の異父弟であり、父はノルウェー東部の小王シグル・シュルでした。英語圏の文献では「ハラルド・シグルズソン」と表記されることもあります。

波乱万丈の若き日々

1030年、ハーラルは兄オーラヴ2世と共に、スティクラスターの戦いに参戦します。ノルウェー王位奪還を目指したこの戦いは、敗北に終わり、オーラヴ2世は戦死。ハーラルは重傷を負いながらも辛くも生き延び、キエフ公国へ亡命しました。

キエフ大公ヤロスラフ賢公に仕えたハーラルは、数々の戦役で活躍し、将軍の地位にまで上り詰めます。その後、ビザンツ帝国へと移り、ヴァラング親衛隊の司令官として、地中海、小アジア、シチリア島、聖地エルサレム、ブルガリアなど、帝国各地で数々の戦いを経験しました。ビザンツ皇帝ミカエル4世の寵愛を受け、巨万の富を築いたハーラルは、その莫大な財産をキエフのヤロスラフ公に預けるほどでした。

ノルウェー王位への道

1042年、ビザンツ帝国を離れたハーラルは、ノルウェー王位奪還を目指し、キエフで準備を始めます。既にマグヌス善王が王位に就いていたことを知っていたと推測されます。1046年、マグヌス善王のデンマークでの政敵スヴェン2世と手を組み、デンマーク沿岸を襲撃。マグヌス善王と共同統治することで合意し、翌年のマグヌス善王の死後、単独でノルウェー王となりました。国内の抵抗勢力を鎮圧し、ノルウェー王国の版図を確定したハーラルは、国内の貨幣経済を確立し、貿易も盛んにしました。

デンマークとイングランド

クヌート大王が築いた北海帝国を復活させようと試みたハーラルは、デンマーク王位を主張し、1064年まで毎年デンマーク沿岸を襲撃し続けました。しかし、デンマーク征服には至りませんでした。

その後、イングランドのノーザンブリア伯トスティ・ゴドウィンソンからイングランド征服の支援要請を受け、1066年9月、1万の軍勢と300隻のロングシップでイングランドに侵攻。フルフォードの戦いでイングランド軍を破り、優勢に戦いを進めます。しかし、イングランド王ハロルド2世率いるイングランド軍の迅速な反撃により、1066年9月25日、スタンフォード・ブリッジの戦いでハーラルは戦死しました。この敗北は、ノルウェーのイングランド遠征の失敗だけでなく、ヴァイキング時代の終焉を象徴する出来事となりました。

ハーラルの死後

ハーラルの死後、ノルウェーは息子のマグヌス2世とオーラヴ3世が共同統治しました。ハーラル3世は、その生涯を通して、卓越した軍事能力と大胆な戦略で知られ、ノルウェーの歴史に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。彼の波乱万丈の人生は、数々のサガや歴史文献に記録され、現代においても人々の関心を集め続けています。また、近年ではNetflixのドラマ『ヴァイキング：ヴァルハラ』で主要人物として描かれ、新たな注目を集めています。

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