キエフ公国

キエフ公国の歴史

キエフ公国（ウクライナ語：Київське князівство）は、12世紀から15世紀にかけて存在していたリューリク朝の公国であり、現在のウクライナ中部を中心に展開していました。この公国は、ルーシの南部、特にキエフを中心とした地域に広がり、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国と領土を二分する形で成り立っていました。

成り立ちと分裂

1130年代には、キエフ・ルーシの封建体制が崩壊し、一連の小公国が形成される過程で、キエフを中心としたキエフ公国が成立しました。キエフ公国の領土は、キエフシュチナや東ヴォルィーニ、ペレヤースラウシュチナなどを含み、首都キエフを中心に多くの都市が地域の中心として栄えていました。これらの都市は、公国の歴史の中で様々な時期に中心地として機能しました。

1132年に大公ムスチスラフ1世が崩御すると、キエフ大公国は小公国に分裂し始めました。ユーリー・ドルゴルーキーはスーズダリ公国の大公としてペレヤースラウ公国への進出を試み、他の小公国も自主性を高めていきました。この状況下で、隣接するチェルニーヒウ公国やノヴゴロド公国も権力の独立を強化しました。特に、ノヴゴロド公国はキエフからの独立性を著しく高め、他の地域との衝突も頻発しました。これにより、キエフ公国は徐々にその存在意義を失っていきました。

治世の変遷

1139年には大公ヤロポルク2世が没し、その後はヴャチェスラフ1世が公位に即位しましたが、彼の在位はわずか7日間で終わりました。次に即位したフセヴォロド2世は、キエフの権力を手にしましたが、その治世はコミュニティの不満を引き起こし、ノヴゴロドを再び手に入れられないこととなりました。1144年から1146年にかけてハールィチ公国との戦争が勃発しましたが、この戦争は両国の疲弊を招くだけでした。

フセヴォロドは1146年に死去した後、キエフの実権は大貴族に移り、キエフ公国は武力衝突や権力争いの舞台となりました。数多くの無能な公が互いに公位を奪い合い、国は混乱の様相を呈しました。

モンゴルの侵攻と崩壊

1240年にはモンゴル軍がキエフを襲撃し、キエフ公国は占領されました。1243年にはジョチ・ウルスによってヴラジーミル・スーズダリ大公国のヤロスラフ2世が任命され、彼がキエフに代官を送ることになります。ヤロスラフの死後、アレクサンドル・ネフスキーがキエフ公に任ぜられましたが、その後も公国は従属関係に置かれました。

1362年にはリトアニア大公国の軍勢によってジョチ・ウルスから解放されるも、リトアニアが新たな支配者となり、キエフは属公国として組み込まれました。リトアニアは自国の公朝を立て、キエフの自主性を無視する政策を進めたため、対立が生じました。1394年、リトアニア大公国がキエフ公位を廃止し、リトアニアの代官が置かれました。

最終的な解体

1440年には一時的にキエフ公位が復活するものの、1470年には再び廃止され、キエフはリトアニアの属領となる道を辿りました。地元の住民は二度にわたって新しい支配を拒否しましたが、1471年には結局、リトアニアの軍勢によってキエフが占領され、キエフ公国は完全に消滅し、リトアニア大公国の一部に組み込まれることとなりました。

結論

キエフ公国の歴史は、リューリク朝時代のウクライナにおける数多くの対立や権力闘争の影響を色濃く反映しています。公国の存在は長きにわたって続いたものの、外部の侵攻や内部の衝突によって次第にその姿を消し、現在のウクライナの歴史においても重要な位置を占めています。

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