ハ42 (エンジン)

ハ42エンジンの概要と開発経過

ハ42は、第二次世界大戦中に三菱航空機が設計した航空機用の空冷星型エンジンです。このエンジンは、日本初の空冷18気筒エンジンであり、同社の14気筒エンジン「火星」を基に、18気筒化されたものです。ハ42には陸軍と海軍の統合名称が与えられ、陸軍ではハ104およびハ214、社内ではA18という呼称が使われましたが、海軍ではMK6およびMK10という略符号で呼ばれました。

開発背景

ハ42エンジンの開発は、技術革新を追求する一方で、高い信頼性を求めた結果、性能面ではやや物足りなさが残るものでした。事実、開発の際には技術的なリスクを避けることが重視されたため、他の国産エンジンに比べて性能が抑えられました。このエンジンは、設計において多くの工夫が施された結果、信頼性は一定の水準に達しましたが、振動に対する対策が不十分であったために、搭載機において様々なトラブルが生じることにもなりました。

開発の進展

ハ42の試作機は、昭和14年（1939年）に計画され、同年8月に初号機が完成しました。その後、昭和15年（1940年）には陸軍の制式採用を受け、ハ104（ハ42-11）として正式に採用されました。しかし、新型爆撃機である四式重爆撃機の制式採用は、昭和19年（1944年）までかかり、技術的課題や戦争の激化によって、エンジンの出力と高高度性能が不足している状況が続きました。

より高性能なエンジンを目指して、A18Aの性能向上版であるA18Eの開発も進められました。A18Eは、陸軍ではハ214、ハ214ル、ハ214フといった異なる型式が設計され、これに新たな過給器が追加されるなどの改良がなされました。これにより、圧縮比や出力が向上し、離昇馬力が1,900馬力から2,200馬力に引き上げられましたが、開発は戦争の終息に伴い中止されました。

エンジンの主要諸元

ハ42-11（ハ104）とハ42-21（ハ214）の主要諸元についても触れておきます。

• - ハ42-11（ハ104）

- タイプ: 空冷星型18気筒
- ボア×ストローク: 150 mm×170 mm
- 排気量: 54.1 L
- 乾燥重量: 944 kg
- 圧縮比: 6.5

• - ハ42-21（ハ214）

- 乾燥重量: 1,260 kg
- 圧縮比: 6.7
- 離昇馬力: 2,400 hp/2,600rpm

最後に

ハ42エンジンは、陸軍や海軍の航空機に搭載される予定でしたが、開発の進行と共に様々な技術的な問題に直面しました。結果として、搭載予定の多くの機体が実用化されることなく終戦を迎えることになりました。日本の航空機技術の進展を考える上で、ハ42はその試みの一つとして位置づけられる重要なエンジンであり、その開発の過程は日本の航空産業の歴史における貴重な足跡を残しています。

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