ハ50 (エンジン)

ハ50航空機用エンジン

ハ50は、第二次世界大戦中に三菱重工業が試作した航空機用空冷星型エンジンです。このエンジンは、当初超大型戦略爆撃機「富嶽」の動力源として設計されました。しかし、富嶽計画は終戦の影響で中止されてしまいました。このため、所要の6基中実際に製造されたのはわずか3基に留まりました。

ハ50の設計の際には、後方冷却が難しくなる3列や4列（三重、四重星型）のエンジン設計は避けられました。このことにより、高出力が求められた際にも非常に工夫された設計が採用されました。特に日本においては、ハ51と並ぶ2機種のみの製造で、世界的にも極めて希少な1列あたり11気筒を搭載したエンジンとして評価されています。

完成したハ50は、戦後、占領軍による没収を避けるため、破壊されたと伝えられていますが、1984年に発見された1基が羽田空港の拡張工事中に出土し、現在は航空科学博物館に収蔵されて展示されています。ただし、このエンジンは現在、他の場所に貸し出されているため、直接見ることはできません。実物が展示される機会は貴重です。

主要諸元

ハ50-01についての主要なスペックは以下の通りです：

• - タイプ：空冷複列星型22気筒（11気筒×2列）
• - ボア×ストローク：150.0 mm × 170.0 mm
• - 排気量：66.10リットル
• - 全長：2400mm
• - 直径：1450mm
• - 乾燥重量：1540kg
• - 過給機：遠心式スーパーチャージャー1段2速
• - 離昇出力：3100 hp / 2600 rpm
• - 公称馬力：2700 hp / 2500 rpm（高度1500m）

これらのスペックからも、ハ50が求められていた非常に高出力の能力を具現化したエンジンであったことがうかがえます。このエンジンは、その珍しさと技術的な特異性から航空エンジン史において重要な位置を占めています。

参考情報

ハ50に関する詳細な情報は、松岡久光氏の著書『三菱航空エンジン史』に記載されています。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。航空用エンジンや関連メーカーに関心を持つ方には、多くの発見があることでしょう。

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