バイオウェア

バイオウェア（BioWare）の軌跡：設立から現在まで

バイオウェアは、1995年にカナダで設立されたコンピュータゲーム開発会社です。特にコンピュータRPGの開発に特化しており、数々の名作を生み出してきました。設立当初はパソコンゲームを中心に開発していましたが、後にコンシューマーゲームにも進出、マルチプラットフォームでの開発を行うようになりました。

設立と初期の活動

バイオウェアは、レイ・ミュジカとグレッグ・ゼスチャックを中心に設立されました。彼らはアルバータ大学の医学部出身で、医療シミュレーションプログラムの開発経験がありました。その経験を生かし、自分たちでゲームを開発することを決意。医療分野での成功で得た資金を元に、10万ドルを用意し、1995年に正式に会社を設立しました。

最初のゲームは『Shattered Steel』で、変形可能な地形やゾーンダメージなどの画期的なシステムを導入し、IGNからは「控えめな成功」と評価されました。この経験が、後のRPG開発に繋がっていきます。

ロールプレイングゲームへの転換

設立メンバーがコンピュータRPGとテーブルトークRPGに強い関心を持っていたため、次のプロジェクトはロールプレイングゲームに決定。Interplayとの提携で『Battleground: Infinity』のデモを提示し、そのエンジンがD&Dのライセンスに適合したため、D&Dのルールセットに沿って作り直されました。これが後の大ヒット作『Baldur's Gate』です。3年の開発期間を経て発売された本作は、200万本以上を売り上げ、『ディアブロ』と肩を並べるほどの成功を収めました。Infinity Engineは、その後『Planescape: Torment』や『Icewind Dale』シリーズにも使用されました。

アクションゲームとコンシューマーゲームへの進出

『Baldur's Gate』の成功後、バイオウェアはアクションゲームにも挑戦します。『Shattered Steel』の続編を検討しましたが、最終的に『MDK』の続編『MDK2』を開発。PCだけでなく、ドリームキャストやPlayStation 2などコンシューマーゲームにも進出し、マルチプラットフォームでの開発を初めて経験しました。しかし、その後もバイオウェアは『Baldur's Gate』シリーズに戻り、『Baldur's Gate II: Shadows of Amn』を開発。こちらも200万本を売り上げ、シリーズ1作目に匹敵する成功を収めました。しかし、Interplayの経営状態が悪化したため、その後はInfogrames（後のAtari SA）と提携。 『Neverwinter Nights』はInterplayからアタリに、D&Dのライセンスの一部はバイオウェアに譲渡されました。その後、『Star Wars: Knights of the Old Republic』(『SW:KotOR』)と『ジェイド エンパイア 〜翡翠の帝国〜』を開発し、ルーカスアーツやマイクロソフトなど、様々なパブリッシャーとの契約を結んでいきます。

EAによる買収と組織再編

2005年にはPandemic Studiosと提携しましたが、2007年にElectronic Arts（EA）に買収されました。これにより、バイオウェアはEAの一部門となりましたが、独自のブランドは維持されました。2007年にはSFロールプレイングゲーム『Mass Effect』を開発。翌年にはニンテンドーDS用ゲーム『ソニッククロニクル 闇次元からの侵略者』を開発しました。その後、EAはバイオウェアを傘下のMythic Entertainmentと統合し、RPG開発部門を強化。テキサス州オースティンやケベック州モントリオールに新しいスタジオを開設し、MMORPG『Star Wars: The Old Republic』の開発を進めました。

2009年にはMythic EntertainmentがBioWareグループに統合され、BioWare Groupが発足。ミュジカがグループのジェネラルマネージャーに、ゼスチャックがグループのクリエイティブオフィサーに就任しました。同年末には、ファンタジーRPG『Dragon Age: Origins』を開発し、高い評価を得ました。

2010年代以降の動向

2010年代に入ると、『Mass Effect 2』や『Mass Effect 3』などの人気シリーズを開発。しかし、『Mass Effect 3』のエンディングを巡っては、多くのプレイヤーから不満の声が上がり、バイオウェアは無料ダウンロードコンテンツ「Extended Cut」をリリースして対応しました。この騒動は、ゲーマーと開発者・パブリッシャーの関係に新たな一章を開く出来事となりました。

2012年には、共同創業者であるミュジカとゼスチャックがゲーム業界から引退。その後、マシュー・ブロムバーグがBioWareレーベルのジェネラルマネージャーに就任しました。また、ルーカスアーツを買収したウォルト・ディズニー・カンパニーが、EAが将来のスター・ウォーズゲームを開発することを発表しました。その後も、『Dragon Age: Inquisition』や『Mass Effect: Andromeda』などのタイトルをリリースしましたが、『Mass Effect: Andromeda』の評価は賛否が分かれ、『Mass Effect』シリーズは一時凍結されました。

2017年には、新作アクションRPG『ANTHEM』の情報が公開されました。また、ジェネラルマネージャーのアーリン・フリンが退社し、ケイシー・ハドソンが復帰。しかし、クリエイティブディレクターのマイク・レイドローやリードデザイナーのジェイムズ・オーレンなど、長年バイオウェアを支えてきたメンバーが相次いで退社しました。2019年には、エドモントンのダウンタウンにオフィスを移転しました。

2020年代と今後の展望

2020年には、『Mass Effect Legendary Edition』が発表されましたが、ケイシー・ハドソンとマーク・ダラーがスタジオを離脱。その後、次世代の『Mass Effect』のトレーラーが公開され、2021年には『Mass Effect Legendary Edition』が発売されました。2023年には、開発者約50人がレイオフされました。2024年には『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』が発売され、批評家から概ね好評を得た一方で、一部のユーザーからレビュー爆撃を受ける出来事もありました。

今後の展望として、バイオウェアは次世代の『Mass Effect』の開発に注力しており、Amazon MGMスタジオが『Mass Effect』のTVシリーズを制作することが発表されています。これからのバイオウェアの展開に注目が集まります。

開発タイトル

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脚注

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出典

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外部リンク

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