バイオセーフティーレベル

バイオセーフティーレベル（BSL）とは

バイオセーフティーレベル（BSL）は、細菌やウイルスなどの微生物と病原体を取り扱う実験室や施設において、安全性を確保するための格付けを示しています。これにより、実験におけるリスクレベルが明確にされ、適切な対策が講じられることを目的としています。通常、これらの施設はリスクが異なる微生物の取り扱いに応じた4つのレベル（1から4まで）に分類されます。

BSLの呼称

例えば、最高の安全基準である「レベル4」はBSL-4と呼ばれ、以前は物理的封じ込め（P4）とも称されていましたが、様々な解釈があったために、現在ではバイオセーフティーレベルの略称が広く使われています。これに関する基準は世界保健機関（WHO）によって定められた実験室生物安全指針に基づいています。各国では、微生物や病原体の危険度に応じて、リスクグループが特定され、その取り扱いレベルが設定されています。

リスクグループとそれに対応するBSL

微生物や病原体は、その危険性に応じて以下の4つのリスクグループに分けられています。これらのグループは地域ごとに異なることがありますが、日本では国立[[感染症研究所]]が独自のリストを策定しています。各リスクグループに紐づく病原体は次の通りです。

• - グループ1：人や動物に病気を引き起こす可能性の低い微生物。
• - グループ2：人や動物に病気を引き起こすが、重大な感染拡大の危険性が低い微生物。例：インフルエンザ[[ウイルス]]。
• - グループ3：人や動物に重篤な病気を引き起こすが、有効な治療法が存在する微生物。例：黄熱ウイルス。
• - グループ4：人や動物に対し生死をもたらす重篤な病気を引き起こし、治療法がない微生物。例：エボラウイルス。

これらのリスクグループにおいては、治療法や予防策の有無により、適切なBSLが定められます。たとえば、リスクグループ3の病原体は、BSL-3以上の実験室で扱われ、基本的にリスクグループの分類に基づく取り扱いが求められます。

各バイオセーフティーレベルの要件

バイオセーフティーレベルは、以下のように設計されており、レベル毎に異なる実施基準があります。

レベル1

• - 微生物取り扱いの際、特別に隔離する必要はありません。
• - 16歳未満の者の入室が禁じられています。

レベル2

• - バイオハザード警告が実験室に表示されます。
• - 許可された者のみが入室可能で、実験中は窓・扉を閉める義務があります。

レベル3

• - 特に廊下の立ち入りを制限し、前室の設置が求められます。
• - 異常なリスクを伴うため、高度な安全対策が義務付けられています。

レベル4

• - 最高度の安全性が求められ、完全に隔離された施設で運用されています。
• - クラスIIIの安全キャビネットや通り抜け式オートクレーブが必要で、必要な実験室の運用マニュアルが整備されています。

日本においては、国立[[感染症研究所]]および理化学研究所の特定施設がBSL-4を保有しており、近年では新たな施設建設が進められています。

まとめ

バイオセーフティーレベルは、微生物や病原体の扱いにおける安全基準を提供し、リスク管理の重要な枠組みを形成しています。新興感染症や生物兵器の脅威が高まる中で、BSLの重要性はますます増しています。

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