バイコニカル・アンテナ

バイコニカルアンテナとは

バイコニカルアンテナは、2つの円錐を頂点で接合したような形状を持つアンテナです。このアンテナは、その形状が連続的に自己相似となる特徴を持っており、広帯域にわたって比較的安定したインピーダンス特性を示すため、実験や測定などの用途で利用されます。

原理

バイコニカルアンテナの中心軸をz軸とし、この軸に対する円錐の開き角をθとすると、無限長のバイコニカルアンテナの入力インピーダンスZ[Ω]は、以下の式で近似的に表されます。


Z ≈ 120 ln(cot(θ/2))


この式からわかるように、無限長のバイコニカルアンテナの入力インピーダンスは、周波数に依存せず、円錐の開き角θのみによって決定されます。つまり、無限長のバイコニカルアンテナは、周波数によらず一定のインピーダンスを保つという特性（定インピーダンス特性）を有しています。

実際のバイコニカルアンテナ

実際には、無限長のバイコニカルアンテナを作成することは不可能であるため、実用的な長さの有限長バイコニカルアンテナが用いられます。理論的には円錐の板状アンテナが理想ですが、実際には十分な数の金属棒を用いて近似的に作成されることもあります。これは、構造を簡略化し、軽量化を図るためです。有限長にすることで、インピーダンス特性は理想的なものから若干変化しますが、広帯域での利用が可能なアンテナとして広く用いられています。

特徴

広帯域特性: バイコニカルアンテナは、広い周波数範囲で比較的安定した動作をします。
定インピーダンス: 無限長の場合、インピーダンスは周波数に依存せず、円錐の開き角によって決定されます。
自己相似性: 形状が自己相似であるため、周波数特性が安定しています。

用途

電波測定
電磁波環境試験
広帯域通信
実験用アンテナ

関連項目

ダイポールアンテナ: 基本的なアンテナの一つで、バイコニカルアンテナとは構造が異なります。
ディスコーンアンテナ: 円錐と円盤を組み合わせたアンテナで、広帯域特性を持ちます。
スーパーターンスタイルアンテナ: バイコニカルアンテナの2次元版とも言えるアンテナで、ボウタイアンテナとも呼ばれます。

参考文献

電子情報通信学会「4章 線状・板状アンテナ」『アンテナ工学ハンドブック』（第2版）オーム社出版局、2008年7月25日、186頁。ISBN 978-4-274-20544-6。

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