バイロン・モレノ

バイロン・アルデマ・モレノ・ルアレス：疑惑にまみれた審判員の軌跡

バイロン・アルデマ・モレノ・ルアレス（Byron Aldemar Moreno Ruales）は、1969年エクアドルの首都キトに生まれました。かつては国際サッカー連盟（FIFA）の国際審判員として活躍しましたが、そのキャリアは数々の疑惑に彩られ、33歳という若さで審判業を引退しました。

審判としての経歴

1996年1月にエクアドルのプロサッカーリーグ、セリエAの審判に就任し、翌年には国際試合で主審を務めました。2002 FIFAワールドカップでは主審として参加し、韓国対イタリア戦を担当。しかし、この試合での判定が大きな波紋を呼ぶことになります。

2002 FIFAワールドカップ 韓国対イタリア戦

この試合でモレノは、トッティ選手に2枚のイエローカードを提示して退場処分としたり、延長戦でイタリアのゴールをオフサイドと判定。これらの判定は、後にFIFA公式ライセンスを取得した会社が発行したDVD「FIFA FEVER」で「世紀の10大誤審」の6位と7位に選定されるほどでした。この誤審騒動はイタリア国内で大きく取り上げられ、ローマの検察が動く事態にまで発展しました。

エクアドルリーグでの疑惑

2002年9月8日、LDU[[キト]]対バルセロナSCというエクアドル国内で最も注目される試合で主審を務めた際、モレノはロスタイムを大幅に延長。公式には6分と表示されたロスタイムが実際には12分にも及び、その間にLDU[[キト]]が逆転勝利を収めました。この不可解な時間延長は、当時キト市の市議会議員選挙に立候補していたモレノが、地元チームを勝たせるために意図的に行ったのではないかという疑惑を呼びました。もっとも、市議会議員選挙には落選しています。

これらの疑惑を受け、エクアドルサッカー連盟（FEF）はモレノに対し20試合の資格停止処分を下しました。FIFAも調査に乗り出しましたが、2003年1月には2002 FIFAワールドカップでの規律違反はなかったと発表しています。

その後と引退

2003年5月にはエクアドルリーグセリエB（2部リーグ）の試合で現場に復帰。しかし、復帰後3試合目となったセリエAの試合で、アウェイチームの選手3人を退場させるなど、露骨なホームチーム有利の判定を下し、再び出場停止処分を受けました。この一連の騒動が引き金となり、モレノは2003年6月に審判員を引退。当時33歳という若さでした。

引退後

審判引退後は、審判員養成学校を設立し後進の指導に当たりました。しかし、2010年にはニューヨークの空港でヘロインの大量所持容疑で逮捕され、懲役30ヶ月の判決を受けました。模範囚として刑期が短縮され、2012年にエクアドルに送還されています。

エピソード

資格停止処分中には、イタリアのバラエティ番組に出演し、自らの疑惑を揶揄するパフォーマンスを披露。2002 FIFAワールドカップでの誤審疑惑について問われた際には、自身の判定は正当だったと主張しました。また、「レフェリーはあくまで人間なので、間違いを犯すこともある」とも語っています。

まとめ

バイロン・モレノは、その審判キャリアにおいて数々の疑惑とスキャンダルに見舞われました。2002年ワールドカップでの誤審疑惑、エクアドルリーグでの不正疑惑、そして麻薬所持による逮捕。その波乱万丈な人生は、サッカー界における倫理と不正行為の問題を浮き彫りにしています。

関連項目

LDU[[キト]]
バルセロナSC

もう一度検索