バクスターの公式

バクスターの公式（別名：パークランドの公式）は、熱傷受傷後の初期24時間における総輸液量を算出するための計算式です。この公式は、パークランド記念病院に勤務していた医師、チャールズ・R・バクスターによって提唱されました。

バクスターの公式の概要

バクスターの公式は以下の式で表されます。


総輸液量 (mL) = 4 mL × 熱傷面積 (%) × 体重 (kg)


ここで、熱傷面積はII度熱傷とIII度熱傷の合計面積をパーセンテージで表したものであり、I度熱傷は計算に含めません。また、重症度を評価する指標であるバーンインデックス（Burn Index）との混同に注意が必要です。

バーンインデックスの計算式は以下の通りです。


バーンインデックス = II度熱傷面積(%) × 1/2 + III度熱傷面積(%)


バクスターの公式によって計算された総輸液量のうち、半量を最初の8時間で投与し、残りの半量を次の16時間で投与します。

例えば、熱傷面積が20%、体重が50kgの患者の場合、総輸液量は以下のように計算されます。


総輸液量 = 4 mL × 20% × 50 kg = 4000 mL


この場合、最初の8時間で2000mLを輸液し、次の16時間で残りの2000mLを輸液することになります。

受傷後8時間は、毛細血管透過性の亢進と血管内水分喪失が最も著明になるため、輸液量を多くする必要があります。

注意点

バクスターの公式はあくまで目安であり、患者の状態によっては輸液量を調整する必要があります。特に、他の外傷を合併している場合、電撃症、気道熱傷、アルコール依存症、重症の深部熱傷、幼児などでは、さらなる輸液負荷が必要となることがあります。

また、輸液の際には尿量、電解質バランス、心機能をモニタリングし、肺動脈楔入圧を測定しながら調整を行う必要があります。成人の場合、尿量を0.5〜1mL/kg/時（50〜100mL/時）以上を維持するように輸液を行います。

関連事項

• - 熱傷
• - 救急医療
• - 点滴静脈注射

この情報が、バクスターの公式の理解に役立つことを願っています。臨床の現場では、患者の状態を総合的に評価し、最適な輸液管理を行うことが重要です。

もう一度検索