バクセン酸

バクセン酸は、反芻動物の脂肪、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品中に見られるトランス[[脂肪酸]]です。IUPAC名は(E)-11-オクタデセン酸であり、18:1 trans -11と表記されます。名前の由来はラテン語の「vacca」（ウシ）にあります。

発見と特徴

バクセン酸は1928年に動物脂肪とバターから発見されました。乳[[脂肪]]中に存在するトランス[[脂肪酸]]の主要な異性体であり、哺乳動物はバクセン酸を抗癌性を持つ共役リノール酸の一種であるルーメン酸に変換することが知られています。

また、バクセン酸の立体異性体であるcis-バクセン酸は、シーバックソーン（Hippophae rhamnoides）油に含まれるω-7脂肪酸です。そのIUPAC名は(Z)-11-オクタデセン酸、数値表現は18:1 cis -11と表されます。

健康への影響

アルバータ大学の研究（2008年）では、ラットに16週間バクセン酸を与えた結果、全コレステロール、LDLコレステロール、トリアシルグリセロールの濃度が低下したと報告されています。現在、研究者らはヒトでの臨床実験を含めた更なる研究を進めています。

加齢臭との関連

2001年4月発行のJournal of Investigative Dermatology (JID)に掲載された資生堂リサーチセンターの研究では、加齢臭の原因物質の一つである2-ノネナールとバクセン酸の関連性が示唆されました。

この研究では、26歳から75歳までの女性が3日間着用したシャツから採取した体臭成分を分析した結果、2-ノネナールの濃度が中高年になるにつれて顕著に増加する傾向があることが明らかになりました。さらに、2-ノネナールは、皮膚表面に見られるパルミトレイン酸やバクセン酸のようなω-7不飽和[[脂肪酸]]の酸化的分解反応によって生成されることが判明しました。

このように、バクセン酸は健康や美容にも関わる興味深い脂肪酸であり、今後の研究成果が期待されています。

参考情報

* 不飽和[[脂肪酸]]

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