バクロンヴィー島

バクロンヴィー島（ベトナム語：Đảo Bạch Long Vĩ）は、ハイフォン沖のバクボ湾に浮かぶベトナム領の島です。島全体が一つの自治体として、ハイフォン市バクロンヴィー県を形成しています。地理的には、クアンニン省のハマイ島から約70km、ハイフォン市のザウ島から約110km、中国の海南島からは約130km離れています。トンキン湾のほぼ中央に位置するため、ベトナムにとって漁業と軍事の両面で重要な拠点となっています。

歴史的には、この島は複雑な経緯を辿っています。1950年、中国国民党軍の残党が海南島から逃れてこの島に籠城しましたが、1955年には中国人民解放軍によって攻略され、一時的に中華人民共和国の領土となりました。その後、1957年秋に中国共産党の指導により、友好の証として島内の学校などの固定資産とともに、当時の北ベトナムに譲渡されました。しかし、この譲渡が租借なのか割譲なのか、あるいはベトナムによる強行占領なのかについては、中国内部でも様々な意見があり、南沙諸島や西沙諸島と同様に、領有権を巡る争いの火種となっていました。

2004年、中越両国はトンキン湾での国境画定交渉を本格化させ、その結果、中国政府はバクロンヴィー島がベトナムに帰属することを再確認しました。これにより、長年の領有権問題を解決し、現在では同島はベトナムの主権下で平和に管理されています。

バクロンヴィー島は、ベトナム語では「白い龍の尾」を意味する名前で呼ばれていますが、英仏の古地図では「ナイチンゲール島」として記載されていました。また、かつて中国語では「浮水洲」または「夜鶯島」と呼ばれていましたが、現在では中国語でも「白龍尾島」と呼ばれています。

この島の歴史は、単なる地理的な位置だけでなく、複雑な政治的背景と国際関係が絡み合っていることを示しています。今日では、ベトナムの領土としてその役割を果たしており、漁業や軍事戦略上、重要な意味を持つ島として認識されています。

関連事項

スプラトリー諸島、西沙諸島: ベトナムと中国の間で未解決の領有権紛争が続く地域。
九段線: 中国が南シナ海における領有権を主張する際に使用する線。
* 白頭山: 中国側の資料で、中国共産党指導部の意向により友好国へ譲渡された土地の例として挙げられることがあります。

もう一度検索