バターミルク水路

バターミルク水路について

バターミルク水路（Buttermilk Channel）は、アッパー・ニューヨーク湾内に位置し、ガバナーズ島とブルックリン区を隔てる細長い海峡です。この水路は長さ約1.6km、幅約0.4kmとされ、潮流が流れる重要な水域となっています。

名称の由来

水路の名称の由来については諸説あり、確定的なものはありません。一般的に広まっている説では、かつてブルックリンの酪農家がマンハッタンへの牛乳運搬のためにこの水路を使用していたことに関連しています。ある伝説によると、水路の通過中に強い潮流によって牛乳が撹拌され、到着する頃にはバターのようになってしまったことから「バターミルク」と名付けられたと言われています。

別の興味深い説では、この水路が浚渫される前は干潮時に牛たちが水路の浅瀬を渡ってガバナーズ島で草を食べていたという話もあります。詩人のウォルト・ホイットマンは、ブルックリン側から牛の群れがこの水路を渡る光景を記録しており、独立戦争の時代までその様子が続いていたことを述べています。

歴史的背景

1817年、いわゆる「夏のない年」の後、ニューヨークでは厳しい冬が訪れました。この年、アッパー・ニューヨーク湾の水面は凍り、馬ぞりが水路を渡ってガバナーズ島に到達できるほどの寒さとなりました。このように、バターミルク水路は古くからさまざまな活動の舞台となってきました。

19世紀に入ると、ブルックリン側での都市開発が進み、1840年代には乾ドックを備えたアトランティック泊渠やエリー泊渠が操業を開始しました。これらの港は、現在のレッド・フック・コンテナ港やブルックリン・クルーズ・ターミナルに当たる場所です。エリー泊渠は現在イケアの店舗が立地する場所でもあります。

水深と交通量

1902年にはアメリカ陸軍工兵隊によって水路が大規模に浚渫されました。その結果、今日の水深は35〜40フィート（約11〜12メートル）となり、バターミルク水路は繁忙な交通の動脈として位置付けられています。この水路は、ブルックリン側のウォーターフロントへのアクセスを提供する重要な経路の一つです。

20世紀末まで、特にアメリカ沿岸警備隊がガバナーズ島に地域指令部を置いていたため、この水路が頻繁に利用されました。

航行補助装置と潮流

バターミルク水路には、多数の航行補助装置が設置されています。水路の北東側の入口には緑色標識5号と7号があり、ガバナーズ島の端に近い浅瀬には標識1号があります。また、流れる潮流は比較的強いため、航行には十分な注意が必要です。

このように、バターミルク水路は歴史的な価値だけでなく、交通の要所としての役割を果たし続けています。

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