乾ドック

乾ドック（かんドック）について

乾ドックとは、船舶の検査や修理を行うために、水を抜いて使用するドックです。この施設は、一般的に「ドック」と呼ばれ、船舶を支えるために特別に設計されています。北アイルランドのベルファストには、世界最大の乾ドックが存在し、ハーランド・アンド・ウルフ社が運営しています。

乾ドックの歴史

乾ドックの最初の例は、1495年にイングランドのポーツマスに設けられたものとされています。しかし、中国では9世紀ごろに類似の施設が利用されていた可能性があるとも言われています。歴史を通じて、乾ドックは船舶の点検や修理に欠かせない存在となってきました。

乾ドックの利用手順

1. 盤木の設置

船舶をドックに入れる前に、まず盤木と呼ばれる支えを設置します。この板材は船体の形状に合ったものを作り、ドック排水後にも船を直立させる役割を果たします。盤木はコンクリートや鉄、木などの素材で作ることができます。特に対潜水艦戦用の艦船については、特別な設計が施されています。

2. 入渠

入渠の手順は通常、船舶のエンジンを使い、入口まで近づかせます。その後、ロープを使って手動で位置を調整することが一般的です。一般の船舶は、水に浮いている状態なら大きな力をかけなくても動かせますが、特に大型の船舶にはタグボートを利用することもあります。

3. 閉扉と排水

ドックの入り口には水密性の扉があり、これを閉めることで外部の水と隔離されます。次に、自然排水や巨大なポンプを使ってドック内の海水を抜きます。この過程で、船体の位置を調整するためにスキューバダイバーが活躍することもあります。排水後、船体は一見浮いているように見えますが、実際には盤木によって支えられています。

4. 作業

排水が完了すると、必要に応じて足場を組んで、船体の点検や修理作業が行われます。これにより、船の状態を確認し、必要な整備を行います。

5. 出渠

整備が終了すると、足場を撤去し、ドックに注水して船体を浮上させます。この水位が均等になったら、ゲートを開けて船舶を曳き出します。

屋根付きのドック

軍用の乾ドックには、スパイ衛星などからの観察を防ぐために屋根が付いていることもあります。第二次世界大戦中には、敵の空襲から保護するために、特別な防空壕が建設されることもありました。現代では、高度な技術を要する作業を行うために屋根付きのドックが必要なケースも多くあります。

浮ドックの利用

浮ドックは、船体を入れて排水を行い、浮上することで作業を行う設備です。自走式のものもあり、目的に応じて適切なタイプを利用することが重要です。昭和の時代には、遠隔地での応急修理のために浮ドックが使われることもありました。

まとめ

乾ドックは、船舶の点検や修理を行うために欠かせない存在です。その利用手順や歴史は、船舶業界の重要な一部を形成しており、今後も進化し続けることでしょう。

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