バック・トゥ・ジ・エッグ

『バック・トゥ・ジ・エッグ』は、1979年にウイングスが発表した7枚目のオリジナルアルバムであり、結果的に彼らのラストアルバムとなりました。

このアルバムは、アメリカでのレコード会社移籍という転換期に制作されました。ビートルズ時代から在籍していたキャピトル・レコードを離れ、CBS傘下のコロムビア・レコードへと移籍したのです。また、メンバー構成にも変化があり、ローレンス・ジュバー（ギター）とスティーヴ・ホリー（ドラムス）という新メンバーが加入しましたが、彼らの参加はこのアルバムのみとなりました。

プロデューサーには、ピンク・フロイドやエルトン・ジョンなどを手がけたクリス・トーマスを起用。音楽的な多様性を追求し、ロック、ポップ、実験的な要素が融合したサウンドを作り上げました。そして、このアルバムの大きな特徴は、豪華ミュージシャンが集結した「ロケストラ」の存在です。ザ・フーのピート・タウンゼントとケニー・ジョーンズ、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムとジョン・ポール・ジョーンズ、プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカー、元スモール・フェイセスのロニー・レインなど、ロック界を代表するスターたちが参加し、アルバムに独特のスケール感と迫力を与えました。

アルバムは、イギリスで6位、アメリカで8位を記録し、商業的にも成功を収めました。しかし、ウイングスはその後新たなアルバムを制作することなく、1981年に解散することとなり、このアルバムが結果的にラストアルバムとなったのです。

収録曲は、多彩な音楽性が際立っています。アルバムの幕開けを飾る「レセプション」から、アップテンポなロックナンバー「ゲッティング・クローサー」、美しいバラード「今宵楽しく」、そして「ロケストラのテーマ」など、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。また、デニー・レインが作曲した「アゲイン・アンド・アゲイン・アンド・アゲイン」や、ポール・マッカートニーが作曲した「アロウ・スルー・ミー」など、メンバーの個性が光る楽曲も楽しめます。

アルバムの再発盤では、ボーナストラックとして「デイタイム・ナイトタイム」や「ワンダフル・クリスマスタイム」などが追加されています。特に「赤鼻のトナカイ」は、レゲエアレンジが施されており、クリスマスの定番曲を新たな形で楽しむことができます。

アルバムの演奏者としては、ポール・マッカートニーがベースギター、ギター、ピアノ、キーボード、リコーダー、シンセサイザー、ボーカルを担当し、リンダ・マッカートニーがキーボード、パーカッション、ミニモーグ、ボーカルを担当。デニー・レインはギター、ピアノ、キーボード、フルート、ボーカル、ローレンス・ジュバーがギターとボーカル、スティーヴ・ホリーがドラムス、パーカッション、ボーカルを担当しています。ロケストラには、上記に加えて、デヴィッド・ギルモア、ハンク・マーヴィン、ピート・タウンゼント、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロニー・レイン、ブルース・トーマス、ゲイリー・ブルッカー、トニー・アシュトン、スピーディ・アクウェイ、トニー・カー、レイ・クーパー、モーリス・パート、ハウイー・ケイシー、トニー・ドーシー、スティーヴ・ハワード、サディアス・リチャードといった豪華ミュージシャンが参加しています。

このアルバムは、ウイングスの音楽的な集大成であり、ロック史に残る名盤として、今も多くの音楽ファンに愛され続けています。

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