デニー・レイン

デニー・レイン：音楽史を彩った多才なミュージシャン

デニー・レイン（本名：ブライアン・フレデリック・アーサー・ハインズ）は、1944年10月29日にイギリスのバーミンガムで生まれ、2023年12月5日に惜しまれつつこの世を去ったミュージシャンです。彼は、ボーカル、ギター、ベース、ハーモニカ、キーボードなど、様々な楽器をこなすマルチプレイヤーであり、作詞作曲も手掛ける才能の持ち主でした。

ムーディー・ブルース創設と初期の音楽活動

レインは、ヤードリー・グラマー・スクール在学中に、ジャンゴ・ラインハルトに影響を受けギターを始めました。12歳で初ステージを踏み、後にエレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）で活躍するベヴ・ベヴァンと共にデニー&ザ・ディプロマッツを結成し、プロとしてのキャリアをスタートさせます。1964年には、マイク・ピンダーと共にディプロマッツを脱退し、ムーディー・ブルースを結成。「ゴー・ナウ」などのヒット曲でリードボーカルを務めましたが、バンドの音楽性の変化から1966年に脱退しました。

ムーディー・ブルース脱退後、レインはELOに似たストリングス・セクションを持つエレクトリック・ストリング・バンドを結成し、ギターとボーカルを担当。「セイ・ユー・ドント・マインド」などのシングルをリリースしましたが、成功には至りませんでした。その後、ジンジャー・ベイカーズ・エアフォースに加入するも、短期間で活動を終えました。

ウイングスでの輝かしい時代

1971年、レインは旧知の仲であったポール・マッカートニーに誘われ、ウイングスを結成。ギター、ボーカルを担当し、ライブではベースやキーボードも演奏しました。彼は作曲にも貢献し、ポールとの共作である「夢の旅人」(Mull of Kintyre)は、イギリスで大ヒットを記録しました。アルバム『ロンドン・タウン』では、彼のフォークソング調の作風が際立っています。

ウイングスはメンバーチェンジが多かったものの、レインはポールとリンダ・マッカートニーと共に、1981年の解散まで唯一結成当初から在籍し続けたメンバーでした。10年間にわたり、ポールとリンダのパートナーとしてウイングスを支え、その音楽的才能を発揮しました。ポールの音楽キャリアにおいても、ビートルズ時代よりもウイングスの方が活動期間が長かったことは特筆に値します。

ウイングス解散後の活動と晩年

ウイングス解散後も、レインは1986年にバーミンガム小児病院を支援するチャリティ・ライブを開催するなど、精力的に活動を続けました。ビートルフェストで元ウイングスのメンバーと再結成ギグを行ったり、ウイングスのトリビュート作品に参加するなど、ウイングスへの愛情を示しました。2010年には、ゴードン・ウォーラー・トリビュート・コンサートにも参加しています。

2023年12月5日、デニー・レインはフロリダ州ネープルズで、新型コロナウイルス感染症の後遺症による間質性肺疾患のため、79歳で亡くなりました。彼の音楽への情熱と才能は、多くの人々に感動を与え、その功績は永遠に語り継がれるでしょう。

私生活

最初の妻ジョ・ジョとの間に1男1女をもうけ、他に3人の婚外子がいる。

関連情報

ムーディー・ブルース
ウイングス
* ポール・マッカートニー

公式サイト

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