バック・ビート

『バック・ビート』

『バック・ビート』（Backbeat）は1994年に制作されたイギリスの映画で、イアン・ソフトリー監督による作品です。この映画は、ビートルズの初期メンバー、スチュアート・サトクリフの短い生涯を描いています。物語の中心にはスチュアートとジョン・レノン、そして彼の恋人であり写真家のアストリッド・キルヒャーとの関係が据えられています。

ストーリーの概要

1960年、イギリスのリヴァプール。スチュアートは美術学校で知り合った親友、ジョンと共に夜の町へ繰り出します。しかし、他の男性たちとの些細なトラブルからスチュアートは意識を失ってしまいます。そんな中、友人のジョンからバンドへの加入を誘われ、ベースを担当することになります。

初めてのツアーであるドイツ・ハンブルクで、スチュアートは運命的な出会いを果たします。それはクラウス・フォアマンのライブを見に来ていたアストリッド・キルヒャーという女性写真家です。スチュアートはアストリッドとの出会いをきっかけに、再び絵を描くことに没頭します。

一度帰国した後、彼らは再びハンブルクに戻りますが、スチュアートは音楽よりも画家としての道を選び、ビートルズを脱退する決断を下します。しかし、その道を直前にしてスチュアートは体調不良から病に倒れ、1962年4月10日、アストリッドの目の前でこの世を去ってしまいます。この悲しい知らせがジョンたちビートルズのメンバーに伝えられたのは、3度目のハンブルク巡業から帰国したときでした。

キャスト

映画にはスチュアート・サトクリフを演じるスティーヴン・ドーフの他、ジョン・レノン役にはイアン・ハート、ポール・マッカートニー役にはゲイリー・ベイクウェル、ジョージ・ハリスン役にはクリス・オニール、アストリッド・キルヒャーにはシェリル・リーがキャスティングされています。さらに、ビートルズのメンバーも登場します。

音楽とエピソード

この映画の中で使用されている音楽は、ハンブルクでのビートルズのオリジナル曲ではなく、アメリカのオルタナティブ・ロックバンドによるカバー曲で構成されています。また、劇中の「マイ・ボニー」の演奏シーンでは、1961年にハンブルクで録音されたビートルズとトニー・シェリダンとの共同音源が使用されています。これにより、当時の音楽シーンをリアルに描き出していると好評です。

受賞歴

『バック・ビート』は、1994年に英国アカデミー賞作曲賞を受賞し、さらに同年にはイギリス作品賞も受賞するなど、音楽と映像の両方で一定の評価を得ました。

舞台化

この映画は、イアン・ソフトリー自身によって舞台化され、2019年には日本で『BACKBEAT』というタイトルで初演されました。2023年には再演があり、同じキャストやスタッフが再び集結しました。舞台も映画同様にスチュアートとアストリッドの関係を中心に展開し、観客に感動を与えました。

『バック・ビート』は、ビートルズの歴史の一端を描くとともに、創作と愛、そして悲劇を交えた深い物語として、多くの人々の心に残る作品となっています。

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