バッジネーム

バッジネーム (Badge Name) とは

バッジネームは、モータースポーツにおいて特に用いられる用語で、主にエンジンや車体の製造者の名前を指しますが、それだけにとどまらない複雑な意味合いを持っています。基本的には、ある企業が他のメーカーによって開発されたエンジンや車両の命名権を取得し、自社の名前を付けることにより、参戦におけるコンストラクター登録などを行うことを指します。一般的には、これをOEM（Original Equipment Manufacturer）供給と同じ意味に捉えられます。

F1におけるバッジネームの実例

特にF1では、1990年代以降、開発コストの急激な増加が問題とされました。このため、エンジン名に独自のスポンサーの名を付けることで、エンジン供給のための費用負担をスポンサーにシフトさせる試みが一般的になりました。このような慣行は、参戦チーム側の要望からスタートします。

F1以外のレースカテゴリーでも、バッジネームが広く用いられています。例えば、独自に開発したシャシーやエンジンに自動車メーカーが資金援助を行い、その名を冠する場合が多いです。これにより、メーカーは自社の製品の宣伝やモータースポーツ振興を図ることができます。

具体的な使用例と影響

数多くのバッジネームがF1で用いられています。例えば、1983年から1987年の間にマクラーレンが使用した「TAG」は、ポルシェが開発したエンジンの名称です。また、アロウズは1987年から1988年にかけて「メガトロン」という名称を使用し、BMWがその開発に関わっていました。さらに、ザウバーは1993年にイルモアの技術を使い、ペトロナスブランドの名がついたエンジンを使用した事例もあります。

特に注目すべきは、フォードのコスワース・DFVエンジンです。このエンジンはコスワースが独自に開発し、フォードが資金援助によってその名が冠されました。メルセデスエンジンについても同様で、イルモアの開発を通じてメルセデス・ベンツ・グループが関与していました。

最近では、2022年から2025年にかけてレッドブルとアルファタウリが使用するホンダのエンジンは、ホンダF1（現：HRC）による開発のため、ホンダRBPTというバッジネームが付けられています。このように、エンジン開発の背景には複雑なスポンサーシップや資金援助の事情があります。

広がりを見せるバッジネーム

また、コンストラクターとしてのバッジネームも重要です。たとえば、アルファロメオはザウバーの名前を利用し、ネーミング・ライツを取得する形で「アルファロメオ・レーシング」として活躍しています。また、「キック・ザウバー」という新しいバッジネームも今後の進展が期待されています。

結論

バッジネームは、モータースポーツにおける重要な戦略であり、企業がどのようにしてリソースを活用するか、どのようにしてブランドを構築するかを反映しています。エンジンや車体の開発には多くの費用がかかる中で、バッジネームを通じて効率的な資金提供を受けながら競技に参加する手法は、今後も重要な役割を果たすことでしょう。このような文化は、モータースポーツの進化とともに、今後も続いていくことが予想されます。

もう一度検索