バッド (曲)

「Bad」（バッド）

マイケル・ジャクソンの名曲「バッド」は、彼のアルバム『バッド』からの表題曲であり、第2弾シングルとして1987年にリリースされました。この楽曲は、マイケルのキャリアの中で重要な位置を占めており、特にビルボードHot100で1位を記録するなど高い評価を得ました。その人気は日本でも顕著で、オリコン洋楽チャートでも1987年9月28日から3週間連続で1位を獲得しています。

制作の背景

「バッド」の制作は興味深いエピソードに満ちています。元々この曲は、プリンスとのデュエットとして考案されていましたが、プリンスが「この曲は僕が参加しなくても売れる」と発言したことで、デュエットは実現しませんでした。結果として、この楽曲はマイケル一人の力で多くの人々に親しまれることになりました。

シングルジャケットの変更

シングルのジャケットも話題となりました。最初は、黒い花柄のレース越しに見えるマイケルの顔写真が予定されていましたが、エピックレコードのスタッフに却下されてしまいます。最終的には、ショートフィルムの撮影時に休憩中に撮られたマイケルの写真が使用されることになりました。

ショートフィルム

「Bad」はショートフィルムとしても制作されました。この作品は、実際の出来事に基づいており、ハーレム出身の私立高校生であるエドマンド・ベリーが、私服警官に誤認されて射殺された悲劇を描いています。ショートフィルムの監督を務めたのは著名なマーティン・スコセッシで、脚本にはリチャード・プライスが参加しました。撮影は1986年11月にニューヨークで行われましたが、マイケルは本来、ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグに依頼したかったと語っています。

構成と出演者

ショートフィルムは、白黒とカラーを交えた独特の構成が特徴で、ドラマシーンは白黒、ダンスシーンはカラーで表現されています。マイケルは「ダリル」という名の役で出演し、不良グループのリーダー役にはウェズリー・スナイプス、母親役には声のみでロバータ・フラックが参加しました。撮影中、治安が悪い地域では、地元住民からの反発もあり、その際、ウェズリーがマイケルのボディガードとして彼を守る一幕もありました。

地下鉄シーンの撮影地

特に印象的なシーンとして、マイケルとダンサーたちが地下鉄駅構内で踊る場面があります。この場面は、ブルックリンにあるホイト-スカーマーホーン・ストリーツ駅で撮影され、実はマイケルが1978年の映画「ウィズ」で初めて出演した際のロケ地の一つでもあります。楽曲には、ジャズオルガンの巨匠ジミー・スミスのオルガンソロがフィーチャーされており、彼に敬意を表した「SMITH」の文字が階段に見えるなど、さりげない工夫も凝らされています。

カバーやパロディ

「バッド」は、その後のアーティストによっても多くカバーされました。1987年には、イギリスの俳優兼コメディアンのレニー・ヘンリーが「Mad」というタイトルのパロディを制作し、1988年にはアル・ヤンコビックが「ファット」というパロディソングを発表。この曲のミュージックビデオは、「バッド」と同じ地下鉄のセットで撮影され、マイケルからの許可が得られたと伝えられています。さらに、アメリカのTVドラマ『Glee/グリー|Glee_グリー』でもこの曲が取り上げられ、2018年にはビリー・アイリッシュが兄と共にこの曲のカバーを披露しました。

結論

「バッド」は、マイケル・ジャクソンの音楽的才能を示すだけでなく、社会問題を取り上げたショートフィルムとしても記憶されています。彼の影響力は、今なお多くのアーティストやファンに受け継がれているのです。

もう一度検索