ロバータ・フラック

ロバータ・フラック

ロバータ・フラック（Roberta Flack）は、1937年2月10日にアメリカ合衆国ノース・カロライナ州ブラック・マウンテンで生まれました。父がピアニスト、母がオルガニストという音楽一家に育ち、彼女の音楽的才能は早くから花開きました。15歳の時、黒人学生を対象にしたピアノコンクールで優秀な成績を収め、ハワード大学に奨学金で進学し、クラシック音楽や声楽を学びました。大学を卒業後、彼女は大学院に進学するものの、父親の急死により中退を余儀なくされ、その後中学校の音楽教師として働きながらナイトクラブでの演奏を通じてキャリアを築いていきました。

1969年にデビュー・アルバム『First Take』をリリースし、これが音楽業界での後の成功の礎となります。特に、クリント・イーストウッドが初監督した映画『恐怖のメロディ』での「愛は面影の中に（The First Time Ever I Saw Your Face）」の掲載は、彼女の名声を大きく高めました。この曲は1972年のビルボード年間チャート1位を記録し、第15回グラミー賞で最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を受賞しました。

1973年には「やさしく歌って（Killing Me Softly with His Song）」が全米1位に輝き、彼女はこの曲で最優秀レコード賞、最優秀楽曲、最優秀女性ボーカルの三部門でグラミー賞を受賞しました。ロバータ・フラックは、2年連続でRecord Of The Yearを受賞した数少ないアーティストの一人となり、その業績は音楽史に名を刻むこととなります。

音楽キャリアの中で、彼女は多くの著名なアーティストと共演してきました。特に、ダニー・ハサウェイとの関係は深く、二人は数回にわたってデュエット・アルバムを制作し、さまざまなヒット曲を生み出しました。「恋人は何処に（Where Is the Love）」「私の気持ち（The Closer I Get to You）」などがアメリカの音楽チャートで成功を収めました。また、1980年代にはピーボ・ブライソンとのデュエット曲「愛のセレブレイション（Tonight, I Celebrate My Love）」も大ヒットし、音楽的な幅を広げました。

1999年には、髙橋真梨子の楽曲を英語詞でカバーしたアルバム『フレンズ〜ロバータ・フラック・シングス・マリコ・タカハシ』を発表し、2014年には平井堅のアルバムに参加し、独自の魅力を発揮しています。

しかし、2022年11月に発表されたニュースでは、ロバータ・フラックが筋萎縮性側索硬化症（ALS）を患い、これにより芸能界からの引退を余儀なくされたことが伝えられました。彼女は現在、闘病生活を送っており、会話が困難になっています。ロバータ・フラックの音楽は、彼女の素晴らしいキャリアを通じて多くの人々に感動を与え続けています。

主なディスコグラフィ

• - First Take - 1969年
• - Chapter Two - 1970年
• - Quiet Fire - 1971年
• - Roberta Flack & Donny Hathaway - 1972年
• - Killing Me Softly - 1973年
• - Feel Like Makin' Love - 1975年
• - Blue Lights in the Basement - 1977年
• - Roberta - 1978年
• - Live & More - 1980年
• - Oasis - 1988年
• - Stop the World - 1992年
• - Friends: Roberta Flack Sings Mariko Takahashi - 1999年

彼女の音楽と情熱は、今後も多くのファンに愛され続けることでしょう。

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