バツァラワルミ

バツァラワルミ（Vaǰravarmi）は、元朝の皇族であり、クビライ・カアンの庶子フゲチの子孫とされています。漢文史料では梁王把匝剌瓦児密と記され、元末期の動乱期に雲南地方を統治していました。

元朝からの独立と明朝との対立

バツァラワルミは、クビライより雲南王に封じられたフゲチの子孫で、順帝の時代に梁王に封じられました。元朝が江南地方の支配権を失った後も、雲南地方で独立を維持し、周辺の勢力と対峙しながらも自立を続けました。

1363年、四川で明玉珍が明夏を建国すると、その軍勢が雲南に侵攻。バツァラワルミは金馬山に逃れましたが、翌年には大理の兵を率いて明夏軍を撃退しました。1368年に朱元璋が明朝を建国し、元朝勢力を北へ駆逐した後も、バツァラワルミは雲南で元朝に忠誠を誓い続けました。

1371年、明朝が明夏を滅ぼし四川を支配下に置くと、雲南地方との国境が接するようになりました。明朝は使者を派遣し、バツァラワルミに降伏を促しましたが、彼はこれを拒否しました。1381年、朱元璋は雲南が古来より中国に属すると主張し、討伐を決意しました。

雲南での戦いと最期

明軍とバツァラワルミ軍は、曲靖を要所と見て激戦を展開しました。バツァラワルミは司徒平章ダルマに10万の兵を与え曲靖を守らせましたが、明軍に敗北。この敗戦により、防戦不可能と判断したバツァラワルミは、左丞の達的、参政の金驢らと共に羅佐山に逃れました。

その後、右丞のロルからの報告で、状況が絶望的であることを悟ったバツァラワルミは、ロル、達的と共に普寧州の忽納寨へ移りました。そこで、彼は自らの龍衣を焼き、妻子を滇池に入水させ、ロル、達的と共に草舎の中で自縊しました。この自害により、梁王政権は滅亡し、雲南地方は明朝の直接統治下となりました。

その後と評価

バツァラワルミの死後、彼の家族は明朝によって南京に護送され、耽羅（済州島）に流刑となりました。孫の愛顔帖木児は高麗へ送られました。後世、『明史』ではココ・テムルらと共に、元朝に忠義を尽くした人物として列伝に名を残しています。バツァラワルミの抵抗は、衰退する元朝の最後の抵抗の一つとして記憶されています。

系譜

バツァラワルミの出自は、史書では「フゲチの子孫」としか記されておらず、詳細な系譜は不明です。しかし、以下のように推定される系譜が存在します。

セチェン・カアン（世祖クビライ）
雲南王フゲチ（Hügeči）
営王エセン・テムル（Esen Temür）
トゴン・ブカ太子（Toγan Buqa）
トゥグルク太子（Bolot Buqa）
ボロト（Bolot）
* 梁王バツァラワルミ（Vaǰravarmi）

バツァラワルミは、激動の時代において、元朝への忠誠を貫き、最後まで抵抗を続けた人物として、歴史に名を刻んでいます。

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