バドル作戦

バドル作戦について

バドル作戦は、イラン・イラク戦争の中で1985年に展開された重要な軍事作戦であり、イラン軍がイラクのマイサーン県に対して行った攻勢です。この作戦では、イラン軍が初めてチグリス川を渡河することに成功しました。この成功は、戦争の流れを大きく換える要因となりました。

作戦の背景

イラン・イラク戦争は1980年から1988年まで続いた長期の軍事衝突であり、その間、イラン軍は歴史的に何度も攻勢を実施してきたものの、特にヘイバル作戦以降は大規模な作戦を控えていました。しかし、1985年初頭からイラン軍は南部戦線に約10万人の兵力を集め、全力で攻勢の準備を進めていました。この措置には、自国の戦力に加えて、日本から大量に購入した船外機も含まれていました。

敵であるイラク軍は、イラン軍の間隙を突く浸透戦を展開し、1985年1月には様々な攻防戦を行いました。さらに、イラク軍はソ連や湾岸の他国からの武器援助を受けながら攻勢を続け、国営放送を通じて作戦の成功を伝えました。

攻撃の始まり

1985年3月12日の早朝、イラン軍はイラク・マイサーン県のアル・クルナを目指して攻撃を開始しました。この作戦は陽動作戦も兼ねており、同時にファーテマ・アル＝ザーラ作戦も実施されました。3月15日までに、イラン軍はハウイザ湿原にてイラク軍の第429旅団を壊滅させつつ、アマーラ地区の司令部を制圧しました。この結果、イラン軍はイラク軍に重打を与え、砂漠地帯まで進撃しました。

この時、バグダード守備に就いていた第72戦車旅団が急遽派遣され、フセイン大統領も前線を視察するなど、イラク軍は緊迫した状況にありました。3月15日、イラク軍は航空攻撃を大規模に展開し、イラン軍に対して膨大な死傷者を出させました。

反撃とその影響

3月16日、イラク軍の反撃が始まり、イラン軍との激しい交戦が続きました。イラク軍は航空機による大編隊攻撃を行い、架けた橋を爆撃し、進撃を阻止しようとしました。翌日、イラン軍はチグリス川の西岸からの攻撃を行い、捕虜を多く獲得したと報告しました。しかし、イラク軍も猛烈な反撃を行い、イラン軍に対してさらなる損害を与えました。

作戦の後の展開

バドル作戦を通じて、イラン軍は最大で14～21個師団を動員できる能力がありましたが、戦闘が湿地帯で行われたため、兵站や航空戦力の不足も影響し戦局は厳しくなりました。その結果、イラン軍は攻勢を断念し、持久戦に移行しました。一方、イラク軍は防御態勢を整え、新規部隊の配備を進めていく方針を決めました。

バドル作戦は、イラン・イラク戦争の中での重要な転換点となり、その後の戦局に大きな影響を与えました。イラン軍の攻撃が続く間、イラク軍は優位性を発揮しつつ、持久戦を展開していくことになります。

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