バド・パウエルへの追想

『バド・パウエルへの追想』

概要

『バド・パウエルへの追想』は、1997年にチック・コリアが「チック・コリア・アンド・フレンズ」としてリリースしたスタジオアルバムです。この作品は、1966年に亡くなったピアニスト、バド・パウエルに捧げられています。コリア自身がパウエルから受けた影響を強く受け止め、彼の音楽をリスペクトする形で制作されました。

背景

アルバムに参加しているミュージシャンの中には、ロイ・ヘインズが含まれており、彼は生前のパウエルと共に演奏した経験があります。コリアが作曲した「バド・パウエル」という曲は、1979年に発表したライヴ・アルバム『チック・コリア&ゲイリー・バートン・イン・コンサート』で初めて演奏されました。また、ヘインズもこの曲を1986年のライヴアルバム『True or False』で取り上げています。

評価

本作はアメリカの『ビルボード』ジャズアルバムチャートで4位を記録し、響きの広がりを見せました。また、第40回グラミー賞では最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞にノミネートされるなど、評価も高いものでした。音楽評論家スコット・ヤナウはオールミュージックにおいて、5点満点中4.5点を付け、「ビバップの焼き直しではなく、コリアと仲間たちはそれぞれのスタイルで独自のアプローチを持つ音楽を生み出している」と述べています。

収録曲

アルバムにはバド・パウエルによるオリジナル曲が収録されています。以下がそのトラックリストです（特記ない楽曲は全てバド・パウエル作）：

1. バウンシング・ウィズ・バド - "Bouncin' with Bud" (Bud Powell, Walter Fuller) - 8:02
2. メディオクル - "Mediocre" - 8:52
3. ウィロー・グローヴ - "Willow Grove" - 9:59
4. ダスク・イン・サンディ - "Dusk in Sandi" - 8:07
5. オブリヴィオン - "Oblivion" - 7:17
6. クレオパトラの夢 - "Cleopatra's Dream" - 6:11
7. バド・パウエル - "Bud Powell" (Chick Corea) - 5:14
8. アイル・キープ・ラヴィング・ユー - "I'll Keep Loving You" - 9:11
9. グラス・エンクロージャー - "Glass Enclosure" - 3:20
10. テンパス・フュジット - "Tempus Fugit" - 9:32
11. セリア - "Celia" - 3:01（日本盤ボーナストラック）

参加ミュージシャン

本アルバムに参加した主なミュージシャンは以下の通りです：

• - チック・コリア - ピアノ
• - ケニー・ギャレット - アルト・サクソフォン（#3, #5, #7）
• - ジョシュア・レッドマン - テナー・サクソフォン（#1, #2, #3, #6, #8, #9, #10）
• - ウォレス・ルーニー - トランペット（#1, #2, #3, #5, #6, #7, #9, #10）
• - クリスチャン・マクブライド - ベース（#11を除く全曲）
• - ロイ・ヘインズ - ドラムス（#1, #2, #3, #4, #5, #6, #7, #9, #10）

終わりに

『バド・パウエルへの追想』は、バド・パウエルへの深い敬意が込められた作品であり、チック・コリアの巧みなピアノ技術と、多様なサポートメンバーの演奏が融合したアルバムとして、多くのジャズファンに愛されています。

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