バナディール州

バナディール州の概要

バナディール州は、ソマリアの連邦構成体であり、その正式名称はバナディール地方行政（Banadir Regional Administration）です。この州は、モガディシオを州都とし、ソマリアの首都でもあります。バナディール州は周囲を中部シェベリ州と下部シェベリ州に囲まれ、東にはインド洋が広がっています。州の行政機関はモガディシオ市と一体になって機能しています。

地理と人口

バナディール州の人口は2014年の推定で約165万人に達しており、そのうち約37万人は国内避難民（IDP）であると考えられています。ソマリアの18州の中では面積が最も小さく、州の領域はモガディシオ市の都市部にほぼ重なります。そのため、この地域全体が都市化されており、都市部（Urban）に分類されます。また、州の名前「バナディール」はペルシャ語の「バンダル」に由来しており、「港」や「波止場」を意味します。これは、モガディシオやバラワなど、この地域の重要な港に関連した名称です。

隣接する州

バナディール州は北側で中部シェベリ州、南側で下部シェベリ州と接しています。ここからも州の地理的な大きさがわかります。全体として、バナディール州は重要な海岸地域に位置し、ソマリアの経済や貿易にとっての中心地でもあります。

歴史的背景

バナディール州の歴史は、シアド・バーレ政権の崩壊後の混乱に彩られています。1991年に、反政府勢力である統一ソマリ会議がバナディールを制圧し、バーレ政権を追放しました。その結果、アリ・マハディ・モハメドを暫定大統領に据えるも、内部での分裂により政府は早々に崩壊してしまいます。この混乱の中、バナディール州は武装勢力による激しい戦闘の舞台となり、地域は荒廃しました。

1992年12月には国連の平和維持活動（PKO）が展開され、アメリカ軍を中心とする多国籍軍がバナディールに駐留しました。しかし、1993年のモガディシオ戦闘（ブラックホーク・ダウン）を境に、アメリカ軍は撤退します。その後、バナディール州は両派に分割され、さらなる戦闘が続きました。これに続き、ソマリア暫定連邦政府が樹立されるも、その支配は及ばず、2006年にはイスラム法廷会議がバナディールを掌握しました。

エチオピアが暫定政府を支持して同地域に軍事侵攻を行った結果、バナディール州はエチオピア及び暫定政府の支配下に入りました。その後、エチオピア軍の撤兵が行われた結果、新たに登場した武装勢力アル・シャバブやヒズブル・イスラムが州内で勢力を強め、再びバナディールは混乱の渦に巻き込まれます。

最終的に、2011年にはソマリア暫定政府がアル・シャバブをバナディール州から追放し、現在はソマリア連邦共和国の統治下にあります。2012年には暫定政府の国際的な承認が得られ、ソマリア自体の国家としての統一が進められました。

このように、バナディール州はソマリアの政治的、社会的な変動が集約されている地域であり、その歴史は現在の状況にも深く影響を与えています。

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