統一ソマリ会議

統一ソマリ会議（USC）とは

統一ソマリ会議（United Somali Congress, USC）は、ソマリア内戦の初期に大きな影響力を持った軍閥の一つです。ソマリ族の主要5氏族の一つであるハウィエ氏族によって1987年に設立されました。

設立の背景

1970年代のソマリアでは、当時の大統領モハメド・シアド・バーレがオガデン戦争に失敗。その後のクーデター未遂事件が頻発しました。これらの事件に関与したとされる多くの人々が逮捕、または海外へ逃亡しました。

1980年代後半になると、バーレ体制は次第に弱体化し、国内各地で氏族を中心とした軍閥が台頭し、抵抗運動を開始しました。

このような状況下、統一ソマリ会議は1987年にイタリアのローマで、ハウィエ氏族のディアスポラ（離散した人々）によって設立されました。会議では、元ソマリ国民運動幹部のアリ・モハメド・オソブレ（通称ワーディグリー）が議長に選出されました。1989年にはエチオピアに支部が設けられ、インドに滞在していたモハメッド・ファッラ・アイディードが参加し、軍事部門のトップに就任すると、その軍事力は飛躍的に増強されました。

発展と分裂

1990年、アイディード率いる統一ソマリ会議の部隊は、ソマリアの首都モガディシュに侵攻。同年12月にはバーレ大統領を追放し、モガディシュを支配下に置きました。しかし、1991年1月、事務部門のトップであったアリ・マフディ・ムハンマドが、アイディードに無断でソマリア大統領への就任を宣言したことがきっかけとなり、内部対立が表面化します。この対立は、ハウィエ氏族内の出身支族の違い（アリはアブガル支族、アイディードはハバル・ギディル支族）も背景にありました。

1991年6月には、アリ・マフディ・ムハンマドの部隊とアイディードの部隊の間で戦闘が勃発。同年7月に行われたジブチ会議において、アリ・マフディ・ムハンマドは2年間の暫定大統領の地位を承認されました。しかし、アイディードはこれを認めず、9月には再び戦闘が激化。1992年3月には大規模な戦闘が再発し、アリ・マフディ・ムハンマドはモガディシュ北部を、アイディードはモガディシュ南部とその周辺地域をそれぞれ占拠する事態となりました。

1992年6月、アイディードは周辺の軍閥を統合し、ソマリ国民同盟（SNA）を新たに結成して統一ソマリ会議と決別。一方、アリ・マフディ・ムハンマドはソマリ救国同盟（SSA）を設立しました。

国連は事態を収拾するため、1992年2月にアリとアイディードをニューヨークに招き、両者は3月に停戦協定に合意。これを機に、4月には国際連合ソマリア活動（UNOSOM）が開始されました。しかし、アイディードがUNOSOMに非協力的であったため、アメリカ軍主体の多国籍軍統一タスクフォース（UNITAF）が編成され、「希望回復作戦」が開始されました。その結果、12月28日にアリ派とアイディード派の間で休戦が成立しました。

1993年3月27日にアディスアベバで開催された和平会議には、ソマリアで活動する15の組織代表が集まり、モハメド・カニャレ・アフラがUSCの議長として参加しました。アイディードもSNAの代表として参加しましたが、結局戦闘は終息せず、第二次国際連合ソマリア活動も成果を上げられませんでした。1993年10月3日のモガディシュの戦闘をきっかけに、国連の活動は縮小。1994年3月にはアメリカ軍がソマリアから撤退し、残りの国連軍も1995年1月から3月にかけて撤退しました。

アイディードの死とその後

1996年7月末、アイディードが射殺されました。8月4日、ハバル・ギディル氏族の長老会議が開かれ、アイディードの息子のフセイン・モハメド・ファラー・アイディードが後継者となることが決定。フセインもソマリア大統領就任を宣言しましたが、国内外の支持を得られませんでした。この頃には、アイディード派、アリ派ともに統制力を失い、小軍閥の集合体へと変質していました。

1997年12月22日、フセインは長年の宿敵であったアリ・マフディ・ムハンマドと和解協定を締結（カイロ宣言）。1998年8月にはモガディシュの共同統治案が出されましたが、アリ派のムサ・スディ・ヤラホウがこれに反発し、独立。ヤラホウもUSC/SSAのリーダーであると宣言しました。

アリ派の暫定国民政府への統合

2000年7月、ジブチでソマリアの暫定大統領選挙が行われ、アブディカシム・サラ・ハッサンが選出されました。ハッサン暫定大統領の政権は暫定国民政府と称し、アリ・マフディ・ムハンマドもこれに参加。これにより、統一ソマリ会議アリ派は消滅しました。

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