バナナパナマ病

バナナパナマ病について

概要

バナナパナマ病とは、土壌中の病原糸状菌であるパナマ病菌（Fusarium oxysporum f.sp. cubense）によって引き起こされる病気であり、特にバナナの生産に深刻な影響を与えます。一般にこの病気は「パナマ病」とも呼ばれ、フザリウム属に属する病原菌による病害の一種です。このような病原菌は、他の作物にも幅広く影響を及ぼし、例えば、ウリ科やサツマイモにおいてはつる割病、アブラナ科の野菜やイチゴでは萎黄病、トマトやジャガイモには萎ちょう病、ナスにおいては半枯病を引き起こすことがあります。

バナナのパナマ病に感染した植物は、葉が黄化したり萎凋したりする症状が現れます。興味深いことに、バナナの可食部分には直接的な病徴が見られませんが、最終的には植物が枯れてしまうことになります。このため、生産者にとっては非常に厄介な問題となります。

歴史

バナナパナマ病は、1890年から1960年にかけて中米やカリブ海地域で広がり、大規模な被害を引き起こしました。そのため、この地域に由来する名が付けられています。この病気自体はオーストラリアのプランテーションで最初に発見されたものの、1900年代には世界各地で同様の症例が確認されるようになりました。特に、1950年代には中南米で広く栽培されていたグロスミシェルという品種に重大な被害が及び、その結果、抵抗性を持つキャベンディッシュ品種への移行が進められました。

日本国内では、2016年に沖縄県で島バナナに関する初の公式報告がありましたが、これが新しいパナマ病のストレインであるTR4によるものでないことも確認されています。

新パナマ病の問題

1980年代になると、新しいストレインであるTR4（新パナマ病）がキャベンディッシュにも深刻な影響をもたらすことが分かり、世界的なバナナ生産に対する懸念が高まっています。この病気は、キャベンディッシュ品種自体が非常に広く栽培されているため、その影響は重大です。バナナ産業の持続可能性を確保するためには、現在進行中の研究や対策が全世界で進められる必要があります。

このような背景から、バナナパナマ病は単なる植物病害の域を超えて、農業生産や経済、さらには食糧安全保障に深く関連している問題であり、その解決策を見出すことが急務となっています。

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