バフチサライ条約 (1681年)

バフチサライ条約の概要

バフチサライ条約（Бахчисарайский договор）は、1681年1月23日にロシアのツァーリ国とオスマン帝国の間で結ばれた重要な平和条約です。この条約は、1676年から1681年まで続いた露土戦争を終結させるもので、ロシア側からはヴァシリー・チャプキン大佐やニキタ・ゾトフ、コサック国家の代表セメン・ラコヴィチ記が調印しました。一方、オスマン側はクリミア・ハン国のムラド・ゲライ汗が署名しました。正式な批准は1682年に行われました。

条約の主な内容

バフチサライ条約にはいくつかの重要な条件が含まれています。まず、条約の有効期限は20年間と定められました。また、ドニプロ川がロシアとオスマン帝国の境界線となり、オスマン帝国はロシアによる左岸ウクライナのコサック国家の支配を承認しました。

さらに、右岸ウクライナに位置するキエフやヴァスィリキウ、スタイキ、トリピッリャなどの都市はロシアの支配下に置かれ、オスマン帝国はロシアのシーチ（コサックの軍事拠点）の管理を認めました。ロシア側は、オスマン帝国が支配する右岸ウクライナ、特にポジーリャ地方や南キエフ地方に対する権利も認めました。

この条約に基づき、ロシアはクリミア・ハン国に対して朝貢を再開し、右岸ウクライナのドニプロ川と南ブーフ川の間は無人地域として扱われました。その結果、ウクライナ・コサックはドニプロ川沿いでの自由な移動や狩猟、漁業が許可され、クリミア・タタールも両岸を行き来することができるようになりました。

条約の影響

バフチサライ条約によって、ウクライナのコサック国家の領域はロシアとオスマン帝国に分割されることになり、この分割に関してはイヴァン・サモイロヴィチ将軍の外交的対応に対する批判がありました。条約により、ロシアの影響力は南ウクライナと黒海北岸地域にまで及び、左岸ウクライナにおけるロシアの支配体制がより強固なものとなったことが挙げられます。

オスマン帝国にとっても、バフチサライ条約は有効に機能し、特にポーランド・リトアニア共和国に対して圧力をかける手段として利用され、ウクライナにおける領土争いの火種が残り続けることとなりました。

この歴史的な条約は、ロシアとオスマン帝国の関係を大きく変えただけでなく、ウクライナの歴史においても重要な転換点となり、その後の政治的出来事に影響を与えることとなったのです。

参考文献

1. Смирнов В.Д. (1887). Крымское ханство под верховенством Оттоманской Порты до начала XVIII века. Санкт-Петербург.
2. Заруба В.Н. (1993). Украинское казацкое войско в борьбе с турецко-татарской агрессией (Последняя четверть XVII в.). Харків.
3. Гуржій О.І., Чухліб Т.В. (1999). Гетьманська Україна. Київ.
4. Т.В. (2003). Бахчисарайський мир // Енциклопедія історії України. — Київ : Наукова думка.

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