バブアー

バブアー（Barbour）：英国を代表する老舗アウトドアウェアメーカー

バブアーは、1894年にジョン・バブアーによってイングランド北東部のサウス・シールズで創業された、アウトドアウェアを中心とするイギリスの老舗メーカーです。創業当初は、北海の過酷な環境で働く水夫や漁師、港湾労働者向けに、油を染み込ませた布（オイルドクロス）を提供していました。そのオイルドクロスで作られた防水ジャケットは、耐久性の高さから評判を呼び、瞬く間に広まっていきました。

100年以上愛される理由：英国王室御用達の品質

バブアーの製品は、100年以上にわたり、イギリス王室やハンティングを嗜む貴族、そしてアウトドアを愛する人々から愛され続けています。その理由は、徹底した品質へのこだわりです。防水のために使用されるオイルは、時代とともに様々な変遷を辿ってきましたが、現在では最高級のエジプト綿とビーコンオイルを使用し、防水性と通気性を両立させた「ソーンプルーフ」という独自の素材を使用しています。この素材について、エイアンドエフの赤津孝夫氏は「草木に触れても音がしないほどソフトで着心地がよく、どんな天候の急変にもこれさえあれば安心」と絶賛しています。

第一次世界大戦、第二次世界大戦中には、イギリス軍に防水服を納入するなど、その品質は国からも認められています。

スティーブ・マックイーンも愛用！「インターナショナルジャケット」

1936年に発表された「インターナショナルジャケット」は、スティーブ・マックイーンが着用したことで、ライダーズジャケットの定番としての地位を確立しました。その洗練されたデザインは、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

英国王室からの信頼：3つのロイヤルワラント

バブアーは、1974年にエディンバラ公フィリップ、1982年にエリザベス2世、1987年にチャールズ3世（当時皇太子）から、英国王室御用達の指定を受けています。これは、品質、機能性、そして伝統が認められた証と言えるでしょう。

バブアー製品のお手入れ：長く愛用するために

バブアー製品は、一般的な衣料品とは異なり、洗濯機、漂白剤、ドライクリーニング、アイロンなどの使用は厳禁です。お手入れは、冷たい水を含ませたスポンジやタオルで優しく拭くだけにしましょう。また、防水性や耐久性を維持するために、年に一度、専用のワックス入りオイルを塗り直すことが推奨されています。

カスタマーサービス：生涯愛せるパートナーとして

バブアーは、どれほど着古してボロボロになった製品でも、顧客が修理を希望すれば、利益なしの実費のみで修理して返却することで、世界的な名声を得ています。新品同様に修復するのではなく、長く使い込んだ風合いを忠実に残しながら、必要な部分のみを修理するという方針を貫いています。そのため、数十年前の材料を保存しているほどです。年間3万着から4万着もの服が修理されているという事実は、バブアーが顧客に寄り添う姿勢の表れと言えるでしょう。

ただし、イギリス本国以外では、修理の範囲が限られていたり、修理費やリプルーフの費用が高額になる場合もあります。

エディンバラ公フィリップが修理に出したコートのポケットに穴が2つあった際、塞いで返却したところ、「釣った魚を入れるのに水抜きが必要だ」と言われたというエピソードは、バブアーの顧客に対する細やかな配慮を示す好例として知られています。以後、その穴は定番になったそうです。

バブアーは、単なるアウトドアウェアメーカーではなく、長年にわたり愛され続ける、信頼のブランドです。

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