バブニヤ県

バブニヤ県について

バブニヤ県（Vavuniya District）は、スリランカの北部州にあり、その県都はバブニヤです。この地域の歴史は深く、紀元前5世紀から13世紀の間はラジャラタ王国に属していました。地理的には、北部のムッライッティーヴー県、西側のマンナール県、南部のアヌラーダプラ県と接しており、面積は約1,967平方キロメートルに及びます。

歴史的背景

バブニヤ県は、13世紀から植民地時代にかけてジャフナ王国の支配下にあり、その後、ポルトガル、オランダ、イギリスがこの地を支配する時代を迎えました。1815年にイギリスがセイロン島の支配権を確立すると、県域はタミル、低地シンハラ、高地シンハラの3つの民族に基づいて分割され、当時はワンニ県と呼ばれていました。1833年にはコールブルーク・キャメロン委員会の提言により、この民族別の区分が廃止され、地形に基づく新たな行政区域へと移行しました。ワンニ県は、ジャフナ県、マンナール県と共に北部州を形成する重要な地域として位置づけられました。

その後、この県はムッライッティーヴー県、さらには現在のバブニヤ県へと改名されました。スリランカが独立を果たした後も、この区画は継続され、バブニヤ県は北部州内の3つの県の一つとして存在してきましたが、1978年に北部が分離したことで新たなムッライッティーヴー県が設立されました。

内戦とその影響

スリランカ内戦の期間に、バブニヤ県の大部分はタミル・イーラム解放のトラ (LTTE) の支配を受けていました。この支配は長期間続きましたが、2008年にスリランカ軍がこの地域を奪還したことで、政府の統治が回復されました。この内戦での死者は10万人にのぼるとされ、多数のタミル人が国外へ移住しました。同時に、県内に存在したスリランカ・ムーアやシンハラ人といった非タミル系の民族も、LTTEによって追放されるケースが多く見られました。しかし、内戦終結後、多くの避難民が帰還しています。

地理的特徴

バブニヤ県は、北部州の内陸南端にあり、地理的には魅力的な住環境を提供しています。県庁所在地のバブニヤは県の中央に位置しており、地域の行政や商業の中心として機能しています。県内にはさまざまな自然環境が広がり、農業やその他の経済活動が行われています。

行政区分と人口

バブニヤ県は4つの郡（DS地区）から成り、これらはさらに102のGN地区に分かれています。2012年の統計では、県の人口は171,511人に達し、大部分はスリランカ・タミルで構成されています。この地域も他の北部州や東部州と同様、内戦の影響を大きく受けており、戦後の復興過程が進む中で住民の生活が徐々に安定してきています。

バブニヤ県は、歴史的背景、地理的特徴、人口動態に富んだ地域であり、今後の発展と復興を見据えた地域社会の再構築が期待されています。

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