バベル-17

バベル-17

「バベル-17」は、アメリカのSF[[作家]]サミュエル・R・ディレイニーによって1966年に書かれた長編SF小説です。この作品は、同じ年に「アルジャーノンに花束を」と共にネビュラ賞の長編部門を受賞し、ヒューゴー賞にもノミネートされるなど、多くの文学的評価を得ました。

あらすじ

物語は、三つの星間種族から成る同盟と、四つの異なる種族からなるインベーダーとの間に続く長い戦争を背景に展開されます。この戦争の中で、同盟に対する破壊工作が行われる直前に記録される謎の通信が、「バベル-17」と呼ばれることになりますが、誰もその意味を解読することができません。著名な詩人であり、優れた言語学者でもあるリドラ・ウォンは、このバベル-17の解読を依頼され、宇宙船ランボー号に多様な乗組員と共に乗り込みます。彼女は、敵がどのようにして同盟に侵入しているのかを調査するため、探索を続けます。

第1部 - リドラ・ウォン

リドラは、実際に船内に潜んでいる可能性のある裏切り者による妨害工作に直面しつつも探求の手を緩めることはありません。解読の道のりは険しいものの、彼女は自らの知識と才能を駆使して真実に迫ろうとします。

第2部 - ヴェル・ドルコ

彼らは次なる目的地として、インベーダーの後ろ盾とされる宇宙ステーション「アームセッジ星兵器廠」に到着します。そこで彼らは、兵器廠長のヴェル・ドルコ男爵に歓待されますが、歓迎の席で突如として人造人間TW-55により男爵が暗殺されるという事態に見舞われます。逃げる際、妨害工作の影響を受けたランボー号は、不適切なジャンプをしてしまい、乗組員は意識を失うことになります。

第3部 - ジェベル・タリク

意識を取り戻すと、リドラたちは私掠船「ジェベル・タリク」に保護されていました。船長は彼らを温かく迎え入れますが、乗組員の中でも一際異彩を放つ副官ブッチャーとの出会いが彼女の運命を大きく変える影響を及ぼすのです。リドラは、バベル-17の辞書を完成させ、これを使ってインベーダーとの接触に成功しますが、戦闘で彼女の船は損傷を受けます。彼女はブッチャーを新たな仲間として加え、技術を駆使して同盟軍の本部を目指します。

第4部 - ザ・ブッチャー

リドラは、ブッチャーが話す言語とバベル-17との類似性に気づきます。この言語には「私」や「あなた」が存在せず、リドラとブッチャーはテレパシーを通じて意識を共有することが可能になります。

第5部 - マルクス・トゥムワルバ

二人の意識が共有される中で、リドラは彼女の残した記録を通じてブッチャーに知識を流し込みます。こうして、彼らは一連の謎を解き明かし、リドラの勇気と知恵が同盟軍の勝利へと繋がっていくのです。リドラは心の中で新たな言語「バベル-18」を創造し、戦争を終わらせるための道を模索します。

用語解説

• - バベル-17: 同盟に対する破壊工作の際に記録される、未解読の通信。また、高度に論理的な人工言語であり、思考や行動に強い影響を及ぼします。
• - 美容整形: 生体パーツを移植し、外見を改造する技術。
• - 霊体人（ディスコーポレイト）: 肉体を失った後でも人格を保持し、精神機能を活かす存在。

リドラ・ウォンをはじめとする個性的なキャラクターたちが織り成す物語は、言語の力やアイデンティティの探究を通じて、戦争と平和の意義を深く掘り下げます。ディレイニーの独創的な世界観は、SF文学の中でも特に異彩を放ち、読者に忘れられない印象を与えています。

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