バラク (モアブ王)

バラク：旧約聖書に登場するモアブの王

バラクは、旧約聖書に登場するモアブ人の王であり、その名はヘブライ語で「略奪者」または「彼は荒れ廃れさせた」という意味を持ちます。彼は、ツィポルの子として、モアブの王位を継承しました（民数記22:1、4）。

イスラエルとの対立

バラクの時代、イスラエル人はエモリ人を打ち破り、その勢力を拡大していました。このイスラエルの台頭は、モアブにとって大きな脅威となりました。危機感を抱いたバラクは、ミデヤン人と同盟を結び、イスラエルに対抗しようとしました。

預言者バラムへの依頼

バラクは、イスラエル人を呪ってもらうために、ユーフラテス川流域のペトルに住む預言者バラムに使いを送りました（民数記22:4-7）。バラムは当初、バラクの依頼を拒否しましたが、バラクは再度、より多くの報酬を提示し、有力な使者を送って頼み込みました（民数記22:15-17）。

バラムとの対面と失望

バラムがモアブに到着すると、バラクはアルノン川の岸辺まで出迎え、遅れて来たことを責めました（民数記22:36）。その後、バラクはイスラエルの宿営を見下ろせる三つの場所（バモト・バアル、ピスガの頂、ペオルの頂）にバラムを連れて行きましたが、バラムは三回ともイスラエル人を祝福してしまいました（民数記22:39、23:14、23:28）。この結果に、バラクは激しく憤慨しました（民数記24:10）。

新約聖書におけるバラク

新約聖書の『ヨハネの黙示録』では、バラクがバラムに教えられた策略を用いてイスラエル人に偶像礼拝と淫行を犯させたことが記されています（黙示録2:14）。これは、民数記25章や31:15-16で語られる出来事を指しています。

まとめ

バラクは、イスラエルの脅威に対抗しようとしたモアブの王であり、その過程で預言者バラムを利用しようとしました。しかし、バラムの祝福によって呪いは失敗に終わり、最終的にはバラムの策略によってイスラエル人を堕落させる結果となりました。バラクの物語は、旧約聖書において、神の計画と人間の思惑がどのように交錯するのかを示す一例と言えるでしょう。

参考文献
『新共同訳聖書』（日本聖書協会）
『小型版 新共同訳聖書辞典』（キリスト新聞社、1997年）
『キリスト教人名辞典』（日本基督教団出版局、1986年）
『聖書辞典』（日本基督教団出版局、1988年）

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