バラタ族

バラタ族とは

バラタ族（サンスクリット語: भारत、Bhārata）は、古代インドにおいて重要な役割を果たした部族です。彼らは『リグ・ヴェーダ』に登場し、インド・アーリア人の系統に属しています。特にパンジャーブ地方のサラスヴァティー川の流域から勢力を拡大し、クル族やパンチャーラ族といった他の部族とも関係を持っていたとされています。バラタ族は、後の時代においても『マハーバーラタ』などを通じてインドの歴史に影響を与え続けてきました。

前期ヴェーダ時代

この時代、バラタ族はスダース王が率いるトリツ族と共に、プール族などの連合軍と戦い、十王戦争で勝利を収めました。この戦いを契機に、バラタ族はパンジャーブ地域の中で中心的な存在となり、その後プール族との連携を強化しました。これにより、混血が進み、クル族が誕生し、このクル族が支配的な階層を形成することになります。その後、クル族はパンチャーラ族と連携し、ガンジス川上流域に勢力を広げていきました。

後期ヴェーダ時代

バラタ族は、クル族としてガンジス川流域において覇権を確立しました。彼らの支配は非常に広範囲で、全インドがバラタ族によって征服されたとも言われています。この時期、インドは「バラタ族の地」として「バーラタ」と呼ばれるようになりました。ただし、『マハーバーラタ』に描かれるクルクシェートラの戦い、いわゆるバラタ大戦争は、バラタ族内の内部抗争を反映しており、実際には次第に分裂して力を失っていたと考えられています。しかし、その詳細については歴史的に確認されていない部分も多いのが実情です。

現代における影響

「バーラタ」という名称は、現代インドの正式名称である「バーラト共和国（ヒンディー語：भारत गणराज्य）」にも使用されています。これは、バラタ族の国を正統なものとする歴史観を反映したものといえます。ヒンディー語では「バーラト」（Bhārat）と発音され、インド全体の象徴として広く認知されています。

このように、バラタ族は古代から現代に至るまで深い影響を与え続けており、彼らの名称や文化はインドのアイデンティティの重要な一部となっています。

もう一度検索