バランス釜

バランス釜とは

バランス釜（バランスがま）は、バランス型風呂釜の通称で、自然給排気（BF式）を採用したガス風呂釜です。屋内と屋外を遮断した給排気方式により、安全性が高いことが特徴です。

バランス釜の歴史

1965年にガスターが開発し、公団住宅を中心に普及しました。しかし、屋外壁掛け式給湯器の普及や、バランス釜の欠点から、1990年代以降の住宅ではほとんど見られなくなりました。

バランス釜の特徴

給排気： 屋外に直結した給排気筒を使用し、屋内の空気を使用しないため、一酸化炭素中毒のリスクが低い。
給湯能力： 一般的な給湯器よりも給湯能力が低い（最大8.5号）。
燃料： 都市ガス用とプロパンガス用の2種類があり、適合するガス種を使用する必要がある。
安全性： 空焚き防止機能が搭載されている（2011年4月以降発売のもの）。
電源： 乾電池（単1型2本）を動力源とする。

バランス釜の長所と短所

長所:

都市ガスまたはプロパンガス、上水道、下水道のみで使用可能。
停電時でも使用可能（外部電力を要さない）。

短所:

設置場所が浴槽の隣に限られ、レイアウトの自由度が低い。
給湯に口火が必要で、簡便さに欠ける。
固定式浴槽のユニットバスには対応できない。
湯張りに時間がかかる。
点火操作を繰り返すと爆発事故の危険性がある。
空焚きによる火災の危険性がある。
自然循環式のため、追い焚きでは浴槽上部のみが熱くなる。
風呂釜内部に湯垢や汚れが溜まりやすい。
浴室内の壁に吸排気用の開口部が必要。

バランス釜の設置方式

設置場所によって、以下の種類があります。

外壁式 (BF-W)： 外壁に面する浴室で使用。
二本管式 (BF-DP)： 浴室上部の壁面を貫通させる。
チャンバー式 (BF-C)： 開放廊下に面し、チャンバー室がある場合に使用。
ダクト式 (BF-D)： 外壁にも開放廊下にも面していない場合に使用。

バランス釜の操作方法

1. 運転ダイヤルを「着火」位置まで押し回し、着火ハンドルを回転させて口火をつける。
2. 口火が着火したら、「給湯」または「追い焚き」の位置まで運転ダイヤルを回す。

近年では、乾電池による連続放電で口火を点火させる方式が主流となっています。

追い焚きにおける問題点

自然循環式のため、以下のような問題が発生することがあります。

釜鳴り： 循環パイプの勾配不良により、風呂釜内部で部分的に沸騰し、本体が振動する。
湯垢の蓄積： 循環水の流れが遅いため、風呂釜内部やパイプ内に湯垢が溜まりやすい。

バランス釜の更新・代替

バランス釜の代替として、壁貫通型風呂給湯器（パックイン型、ホールインワン型）があります。これは、バランス釜の給排気口を利用して設置できるため、大規模なリフォームが不要です。また、浴槽内にあった風呂釜のスペースを有効活用でき、より大きな浴槽を設置できます。

壁貫通型風呂給湯器は、リモコン制御による自動湯張り、水位・湯量設定、沸きあげ、保温などの機能があり、「フルオート」「オート」「マニュアル」「給湯専用」のタイプがあります。ただし、AC100V電源が必要となるため、電源工事が必要な場合があります。

まとめ

バランス釜は、安全性の高いガス風呂釜ですが、設置場所の制約や給湯能力の低さなどの欠点があります。現在では、より高機能な壁貫通型風呂給湯器が普及しており、バランス釜からの交換が進んでいます。

もう一度検索