一酸化炭素中毒

一酸化炭素中毒（CO中毒）

概要

一酸化炭素中毒、またはCO中毒は、一酸化炭素という有害なガスが原因で引き起こされる中毒症状を指します。このガスは無色無臭であり、気づかないうちに吸い込んでしまうことが多いため、悪化するまで自覚症状が出にくいという特性があります。症状はしばしばインフルエンザに似ており、頭痛、めまい、吐き気、胸の痛み、混乱を伴います。特に冬季に中毒が多く発生する傾向があり、停電時にポータブル発電機を使用するケースが特に危険です。

原因

一酸化炭素は、酸素に比べて血中ヘモグロビンとの結合力が約200〜250倍も高く、そのため酸素を運ぶ能力が低下します。ヘモグロビンに結合した一酸化炭素（カルボキシヘモグロビン）が形成されることで、血液中の酸素濃度が下がり、酸素が十分に供給されなくなります。この過程が引き金となり、さまざまな中毒症状を引き起こすのです。

症状

急性中毒の症状は濃度に応じて異なります。

• - 500ppm：軽度の頭痛や吐き気が現れ始める。
• - 1000ppm：顕著な症状が見られ、意識が朦朧とすることもある。
• - 1500ppm：生命の危機が伴い、最終的には死亡する危険性が高まります。

中毒患者の顔色は一見良く見えることが特徴で、鮮紅色に見えるため注意が必要です。中毒を自覚することは難しく、高濃度の一酸化炭素を吸入し続けることで意識を失うと、さらに状況が悪化します。また、中毒に対する初期対応が遅れると、後遺症が残ることもあります。

診断

中毒の診断は、血中の一酸化炭素結合ヘモグロビン（COHb）の濃度測定と、患者の主訴する症状の組み合わせで行います。しかし、パルスオキシメーターは正常を示す場合が多く、CO中毒の正確な診断には不向きです。動脈血ガス分析を行うことで、他の血液パラメータも確認し、より正確な診断に役立てます。

治療

一酸化炭素中毒の基本的な治療法は酸素吸入です。酸素が一酸化炭素よりもヘモグロビンに強く結びつくため、早急に酸素を補充することで中毒症状を緩和します。高圧酸素治療は、重症度に応じて適用されますが、酸素療法を施しても脳細胞に直接のダメージを与えるため、後遺症の出現が考慮されます。患者が回復した後も、脳の高次機能障害や運動障害が残ることがあるため慎重なフォローが必要です。

対策

一酸化炭素のリスクを減少させるためには、ガス警報器を設置し、空気中の濃度を監視することが効果的です。家庭内での不完全燃焼の防止や、定期的な換気も重要です。また、長期間にわたって少量の一酸化炭素を吸入することでも中毒の危険が増すため、注意が必要です。火災時には、シアン化水素との併発も考慮して対応する必要があります。

まとめ

一酸化炭素中毒は深刻な健康リスクを伴うため、その特性をよく理解し、日常生活の中での注意が求められます。感染症や風邪の症状に似た初期症状に注意し、早めの対策を取ることが生死を分けることもあります。

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