バリキャップ

バリキャップ（可変容量ダイオード）

バリキャップとは、端子間に加わる電圧によって静電容量が調整可能なダイオードの一種です。英語では「varicap diode」または「variable capacitance diode」と称され、日本では「バラクタ」とも呼ばれています。これらの素子は、特に高周波数領域での用途において重要な役割を果たします。

用途

バリキャップは様々な電子機器に幅広く用いられています。代表的な用途には、電圧制御発振器（VCO）、位相同期回路、周波数シンセサイザがあり、これらはいずれも周波数の変動に対する感度が求められる装置です。バリキャップは、静電容量を電圧によって制御できるため、整流器としても使用されることがあります。

使用法

バリキャップは主に逆バイアスで動作します。このため、直流電流は流れませんが、コンデンサのように機能します。その動作の核心は、空乏層の幅が接続されたバイアス電圧とともに変化することです。一般に、空乏層の幅は印加電圧の平方根に比例し、静電容量はその幅に反比例します。つまり、静電容量は印加電圧の平方根に反比例して変化します。

バリキャップはこの特性を最大限に引き出すように設計されており、静電容量やその変化幅は他のダイオードに比べて大きく設計されています。他の多くのダイオードは、通常、静電容量をできるだけ小さくするように設計されています。この違いが、バリキャップの特異性を生んでいる要因です。

ダイオード以外のバリキャップ

バリキャップは、ダイオードに限らず、他の用途でも使用されることがあります。特に、CMOSプロセスにおいては、低濃度の不純物を注入したN型領域（Nウェル）に高濃度の不純物を注入したP型領域（P+型）を形成することによって、バリキャップが生成されます。こうした接合部の静電容量は、低濃度不純物が注入されたP型領域（Pウェル）にN+が注入されたNMOSトランジスタ（PN接合として機能）の動作とも連動しています。

参考文献

バリキャップに関する様々な情報は、以下の文献からも得られます。

• - Mortenson, Kenneth E. (1974)による「Variable capacitance diodes: the operation and characterization of varactor, charge storage and PIN diodes for RF and microwave applications」。
• - Penfield, Paul and Rafuse, Robert P. (1962)の研究「Varactor applications」。

外部リンク

• - Learning by Simulations : 各種ドーピングプロファイルによるバラクター[ダイオード]]の特性の計算。
• - [Trimless IF VCO: Part 1: Design Considerations from Maxim。

このように、バリキャップは現代の高度な電子機器にとって、重要な要素の一つであり、その多様な用途においてますます重要性を増しています。

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