バルエリ

ブラジル連邦共和国、サンパウロ州の広大な大サンパウロ都市圏の北西部に位置する都市、バルエリ。2020年のデータによれば、約27万7千人近い人々がここに居住し、その面積はおよそ65平方キロメートルに及びます。この街は、北はサンタナ・デ・パルナイバ、東はオザスコ、南東はカラピクイバ、南はジャンヂーラ、そして西はイタペビといった近隣の自治体と境界を接しています。地域における交通網の要として、サンパウロ都市圏鉄道会社（CPTM）の8号線が市内を通り、住民やビジネスの活動を支えています。

名称の由来と歴史の始まり

「バルエリ」という地名は、この地域の先住民が使用していたトゥピ・グアラニー語族の言葉に由来するとされ、「びっくりする赤い花」を意味すると伝えられています。歴史家たちの研究によれば、この街の起源は、1560年11月11日に遡ります。イエズス会の宣教師であったジョゼ・デ・アンシエタが、この地にノッサ・セニョーラ・ダ・エスカーダ礼拝堂とそれに付随する入植地を築いたことが、今日のバルエリの歴史の幕開けとなりました。

入植初期は小さな集落に過ぎませんでしたが、その後の発展に大きな影響を与えたのが鉄道の敷設です。1870年に建設が始まり、1875年に運用が開始されたソロカバナ鉄道は、バルエリをサンパウロ、そして北西方向のサンタナ・デ・パルナイバやピラポーラ・ド・ボム・ジェススといった重要な地点を結ぶ交通の結節点へと変貌させました。鉄道は人や物の流れを活発にし、村は急速に発展を遂げました。

市制施行とその後の変遷

バルエリは、長らく近隣のサンタナ・デ・パルナイバ市の一部として扱われてきましたが、独自の発展と重要性の増大に伴い、自治体としての独立を求める動きが強まりました。そして、1948年12月24日、ついにサンタナ・デ・パルナイバ市から分離独立し、正式に市として認められることとなりました。これはバルエリが自身の行政権を持ち、都市計画や開発を独自に進める上で極めて重要な一歩でした。

しかし、市の境界線はその後も変化を経験します。1964年には、市域の一部が南東に位置するカラピクイバ市に編入されることとなり、結果としてバルエリ市の面積はおよそ3分の2に縮小しました。このような歴史的な変遷を経ながらも、バルエリはサンパウロ都市圏における主要な都市としての地位を確固たるものにしていきました。

経済活動と都市機能

バルエリは、現在、サンパウロ都市圏における重要な経済拠点の一つとして機能しています。多くの国内外の企業がこの街に事業所や本社を構えており、地域経済を牽引しています。例えば、航空会社のアズールブラジル航空、エネルギー関連のAES エレトロパウロ、決済サービスを提供するシエロやレデカード、医療関連のDASA、そしてかつてはウォルマート・ブラジルなどもこの地に重要な拠点を置いていました。これらの企業の存在は、多くの雇用を生み出し、バルエリの都市機能の発展に寄与しています。交通の便の良さも、企業の集積を促進する要因の一つとなっています。

スポーツと文化

バルエリはスポーツの分野でもその名を知られています。地元の代表的なサッカークラブであるグレミオ・バルエリは、アレーナ・バルエリをホームスタジアムとして活動しています（注: 2013年当時はブラジル全国選手権のセリエCに所属していました）。このスタジアムは、サッカーの試合だけでなく、様々なイベントにも利用されています。

また、バルエリ市内のジョゼ・コレア体育館は、国際的なスポーツイベントの会場としても活用された実績があります。記憶に新しいところでは、2006年にブラジルで開催された女子バスケットボール世界選手権において、この体育館が試合会場の一つとして選ばれ、世界のトップレベルの戦いが繰り広げられました。これらのスポーツ施設やイベントは、市民の健康促進や交流の場を提供するとともに、街の活気を高める役割を果たしています。

このように、バルエリは古くからの歴史を持ち、交通の要衝として発展を遂げ、今日では経済活動の中心地であるとともに、スポーツや文化の振興にも力を入れている、多面的な魅力を持つブラジルの都市です。

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