バルカン戦線 (第二次世界大戦)

バルカン半島の戦い（第二次世界大戦）

第二次世界大戦におけるバルカン半島の戦闘は、1940年10月28日から1941年5月29日にかけて、主に枢軸軍と連合軍の間で繰り広げられました。この戦いは、バルカン半島の掌握を巡る重要な戦局であり、地域の政治情勢や国際関係に大きな影響を与えることとなりました。

戦闘の背景

第一次世界大戦後、オーストリア＝ハンガリー帝国とオスマン帝国、ロシア帝国が崩壊し、新たにユーゴスラビア王国が成立しました。この時期、バルカン半島の政治地図は大きな変化を迎えており、特にイタリア王国は自身の領土回復を目指すファシズム勢力の影響を受け、周囲の国々との緊張が高まりました。

また、第一次世界大戦で敗北したブルガリアやハンガリーも、失った領土の奪回を狙っています。他方、ユーゴスラビアはルーマニアやチェコスロバキアとの小協商により、イタリアやソビエト連邦に対抗しようとしていましたが、フランスの影響力の低下に直面していました。

1939年、イタリアのアルバニア侵攻が引き金となり、バルカン諸国間の緊張がさらに高まりました。イギリスはギリシャとルーマニアに対する安全保障を打ち出しましたが、ナチス・ドイツによるポーランド侵攻がきっかけで第二次世界大戦の火蓋が切られました。

戦闘の経過

イタリアのギリシャ侵攻

1940年10月28日、イタリア政府はギリシャが中立を破っていると主張し、攻撃を開始しました。ギリシャはこれに応じ、逆侵攻を展開しました。その後、1941年3月からイギリスが本格介入を開始しましたが、防衛的な作戦に留められました。

ブルガリアの進駐

ドイツはソ連の動向を懸念し、1941年3月1日にブルガリアに武力進駐し、同国を三国同盟に引き入れました。これにより、さらにバルカン半島の力関係が変化しました。

ユーゴスラビア侵攻

ドイツはイタリアのバルカン政策を黙認しつつ、自らも軍事的変動を進めました。しかし、ユーゴスラビアで軍のクーデターが発生し、親独政権が崩壊します。この影響により、ドイツはバルカン侵攻を決意し、1941年4月に攻撃を開始しました。ユーゴスラビアの降伏後、国内はクロアチア主導の占領体制が敷かれました。

ギリシャ侵攻

続いて、ユーゴスラビアを攻略したドイツは、4月10日にギリシャ本土への侵攻を開始します。連合国は挟撃され、4月27日にアテネが陥落しました。その後、ドイツ軍はエーゲ海の島々へ軍を進め、またクレタ島への攻撃に際しては、空挺部隊を投入することとなりました。

戦後の影響

戦後、バルカン半島は複雑な政治情勢を抱えることになりました。ユーゴスラビアとギリシャは、パルチザン運動によって国土解放を果たし、それぞれの独自の政治的経緯を持つ結果となります。この時期の変遷は、後のバルカン地域における内戦や民族問題に大きな影響を与えることとなりました。

文化的影響

この戦いに関連した映画や文学作品も多く制作されています。映画『ナバロンの要塞』や『ネレトバの戦い』、さらには坂口尚の漫画『石の花』など、当時の情勢を描いた作品が数多く残されています。これらは戦争の記憶や教訓を伝える重要な文化遺産となっています。

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