バルカ家

バルカ家：古代カルタゴの名門

バルカ家は、古代地中海世界で栄えたカルタゴの名家であり、特に第一次ポエニ戦争後、イベリア半島におけるカルタゴの勢力拡大に大きく貢献しました。ただし、「バルカ家」という言葉は、後世の歴史家がバルカ一族を学術的にまとめるために用いたものです。

概要

伝説によれば、バルカ家の祖先はカルタゴの創始者である女王ディードーであるとされています。しかし、カルタゴが滅亡し、ローマも歴史の中に消え去った現代においては、バルカ家の血統を学術的に辿ることは困難です。紀元前3世紀のカルタゴにおいて、バルカ家は支配者階級の一角を占めており、ローマの地中海進出がカルタゴの国益を脅かすと考えていました。第一次ポエニ戦争での敗北後、バルカ家は来るべきローマとの再戦に備え、イベリア半島の経営に乗り出しました。

バルカ家はイベリア半島に多くの都市を建設し、その名は現在のスペインの地名にも残っています。その代表例がカルタヘナであり、ここはバルカ家がイベリア半島統治の拠点として「カルタゴ・ノウァ（新しいカルタゴ）」を建設した場所です。また、スペインのバルセロナもバルカ家との関連が指摘されています（FCバルセロナの愛称「バルサ(Barça)」もその名残と言えるでしょう）。

バルカ家の主要人物

ハミルカル・バルカ： 第一次ポエニ戦争でカルタゴ軍を率いて善戦しましたが、本国が敗戦を認めて撤退。その後、イベリア半島に渡り、カルタゴの植民都市建設の基礎を築きました。息子ハンニバルに、生涯ローマを敵とすることを誓わせたという逸話が残っています。
ハスドルバル： ハミルカル・バルカの義理の息子であり、ハミルカルの死後、イベリア半島の統治を引き継ぎました。カルタゴ・ノウァを建設し、その統治を確固たるものとしました。
ハンニバル・バルカ： ハミルカル・バルカの長子。義兄ハスドルバルが暗殺されると軍を掌握し、対外進出を図りました。ローマとの国境紛争は第二次ポエニ戦争へと発展し、大軍を率いてイタリア半島に侵攻、ローマを苦戦させました。その卓越した用兵術は、今日に至るまで高く評価されています。
ハスドルバル・バルカ： ハンニバルの弟。ハンニバルのイタリア遠征中には、兄に代わってイベリア半島の統治を担いました。イタリア半島で苦戦するハンニバルを支援するため、イタリアに侵攻しましたが、メタウルスの戦いで戦死しました。
マゴ・バルカ： ハミルカルの第三子にしてハンニバルの弟。ハンニバルの下で兵士を指揮し、兄の勝利に大きく貢献しました（マゴーネ・バルカとも呼ばれます）。

関連項目

ポエニ戦争

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