バルセロナ包囲戦 (1706年)

第2次バルセロナ包囲戦：スペイン継承戦争の一局面

第2次バルセロナ包囲戦は、スペイン継承戦争における重要な戦闘の一つであり、1706年4月3日から27日にかけて、スペイン・フランス連合軍がイングランド・オーストリア同盟軍の拠点であるバルセロナを包囲した戦いです。この戦いは、イベリア半島における勢力図を大きく変動させる要因となりました。

背景：バルセロナを巡る攻防

1705年9月、イングランド・オーストリア同盟軍は第1次バルセロナ包囲戦でバルセロナをスペイン軍から奪取し、カタルーニャ、アラゴン、バレンシアを拠点として、カスティーリャのフェリペ5世に対抗していました。一方、スペイン・フランス連合軍は、1704年8月にジブラルタルを占拠され、その奪還を目指していました。しかし、マラガの海戦でフランス・スペイン連合艦隊はジブラルタルへの進出を阻止され、1705年3月21日のマルベラの海戦でイギリス艦隊にフランス艦隊が撃破されたため、ジブラルタル包囲は中止となりました。

包囲戦の展開

バルセロナ占拠後、膠着状態が続いていましたが、4月3日にフランスの将軍テッセ伯ルネ・ド・フルーレがバルセロナに進軍し、マドリードからフェリペ5世も合流してバルセロナ包囲が開始されました。カタルーニャを拠点とするカール大公はバルセロナに籠城し、スペイン・フランス連合軍に抵抗しました。ジブラルタルからは、ジョン・リーク率いる艦隊がバレンシアに駐屯していたピーターバラ伯チャールズ・モードントやジェームズ・スタンホープらと合流し、バルセロナ救援に向かいました。ピーターバラは、スペイン・フランス連合軍がカタルーニャに釘付けになっている隙にマドリードを落とすことを提案しましたが、リークがこれを却下し、バルセロナへ向かいました。

包囲の終焉とその後

スペイン・フランス連合軍は4月21日にバルセロナ付近のムンジュイックの砦を奪い、バルセロナを窺いましたが、イングランドの援軍が来たことを知ると、27日に包囲を中止して撤退しました。同盟軍は好機を逃さず、6月にカール大公とピーターバラがカタルーニャ・バレンシアから出陣、ポルトガルに駐屯していたゴールウェイ伯ヘンリー・デ・マシューも進軍し、6月29日にマドリードを奪取しました。フェリペ5世はマドリードから逃れましたが、同盟軍は連携が取れず8月に撤退、10月4日にフェリペ5世がマドリードへ復帰しました。スペイン戦線は仕切り直しとなりましたが、フランスの援軍を得たフェリペ5世は反撃に出て、同盟軍と戦いを繰り広げました。

参考文献

* 友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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