バルチック海運取引所

バルチック海運取引所（Baltic Exchange）

バルチック海運取引所は、イギリスのロンドンに位置する、世界的に重要な海運取引所です。単にバルチック取引所とも呼ばれ、海運市況に関する情報の提供、ブローカー業務、そして海運に関する紛争処理など、多岐にわたるサービスを提供しています。

歴史

バルチック海運取引所の起源は、1744年にロンドンのスレッドニードル通りにあった「バージニア・アンド・メリーランド」というコーヒー・ハウスに遡ります。この店は、バージニア（アメリカ東海岸の州）とバルチック（バルト海沿岸）にちなんで「バージニア・アンド・バルチック」と改名されました。当時、この店は船主や商人たちが集まり、商談を行うための場所として利用され、事実上の取引所のような役割を果たしていました。この年が、バルチック海運取引所の設立年とされています。

1823年には、店の常連客によって委員会が組織され、会の規約や入会資格が定められました。この委員会が、後のバルチック海運取引所の原型となります。

1857年には、バルチック社（Baltic Company Limited）が設立されました。取引量の増加に伴い、手狭になったため、スレッドニードル通りのサウスシー・ハウスを買収し、移転しました。

1900年、ロンドン海運取引所（London Shipping Exchange）と合併し、バルチック商業海運取引所（Baltic Mercantile and Shipping Exchange）と名称を改めました。

1903年には、ロンドン中心部のセント・メリー・アクス通り30番地に新たな社屋を建設し、移転しました。

1985年、バルチック貨物指数（Baltic Freight Index、BFI）の算出を開始し、バルチック国際海上運賃先物取引所（Baltic International Freight Futures Exchange、BIFFEX）での取引が始まりました。

1992年、セント・メリー・アクス通り30番地の取引所建物が、IRA暫定派によるテロで爆破されるという悲劇に見舞われました。

1995年、セント・メリー・アクス通り38番地に新たな社屋が完成し、移転しました。

1999年、バルチック貨物指数はバルチック海運指数（Baltic Dry Index、BDI）へと改称されました。

2001年には、バルチック国際海上運賃先物取引所の取引が停止されました。

2016年9月26日、シンガポール取引所（SGX）によって買収され、SGXグループの一員となりました。

主な指数

バルチック海運取引所は、以下の主要な指数を発表しています。

バルチック海運指数（Baltic Dry Index、BDI）：
バルチック・ケープサイズ指数（Baltic Capesize Index、BCI）
バルチック・パナマックス指数（Baltic Panamax Index、BPI）
バルチック・スープラマックス指数（Baltic Supramax Index、BSI）
バルチック・ハンディサイズ指数（Baltic Handysize Index、BHSI）

これらの指数は、世界の海運市況を測る上で重要な指標となっています。

関連項目

海運
先物取引
30セント・メリー・アクス - かつての取引所跡地に建設された特徴的な建物。
神戸海運集会所 - バルチック海運取引所を参考に設立された日本の海運取引所。

外部リンク

The Baltic Exchange（英語）

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