バルトロメーオ・ベッラーノ

バルトロメーオ・ベッラーノ（Bartolomeo Bellano, 1435年頃 - 1497年または1498年）は、ルネサンス期のイタリアで活動した彫刻家、そして卓越した彫金家でした。ヴェッラーノ・ダ・パドヴァ（Vellano da Padova）とも呼ばれ、その名は故郷パドヴァと深く結びついています。彼は、巨匠ドナテッロの弟子としてその作風を継承し、師の芸術観を忠実に体現した作品を数多く残しました。

生涯

ベッラーノは、パドヴァで金細工師の息子として生を受けました。幼少期から芸術的な環境に触れていたことが、彼の後のキャリアに影響を与えたと考えられます。青年期にはフィレンツェに赴き、当時最も影響力のある彫刻家の一人であったドナテッロの工房に入門しました。ドナテッロの助手として、数々の大作制作に関わった経験は、ベッラーノの技術と感性を磨く上で重要な役割を果たしました。

1466年にドナテッロが亡くなった後、ベッラーノは自身の道を歩み始めます。1467年にはペルージャで教皇パウルス2世の像を制作したと伝えられていますが、この像は残念ながら現在では失われています。1469年、ベッラーノは故郷パドヴァに戻り、その後の活動の拠点としました。パドヴァでは、彼の代表作として知られるサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂の大理石の聖筆を制作しました。この聖筆は、彼の彫刻家としての力量を如実に示しており、ルネサンス期の宗教彫刻を代表する作品の一つとして高く評価されています。

ベッラーノは、ブロンズ像の制作においても優れた才能を発揮しました。メトロポリタン美術館に所蔵されているダビデ像は、彼のブロンズ作品の中でも特に有名なものです。この像は、若き日のダビデの姿を力強く、かつ繊細に表現しており、ベッラーノの技術と芸術的なセンスが融合した傑作と言えるでしょう。

1479年には、画家のジェンティーレ・ベッリーニと共に、ヴェネツィア共和国の派遣団の一員として、オスマン帝国の首都イスタンブール（コンスタンティノープル）に渡りました。この派遣は、芸術的な交流を目的としたものであり、ベッラーノは異文化に触れる貴重な経験を得ました。1496年または1497年、ベッラーノはパドヴァで生涯を閉じました。彼の死後、その才能は弟子のアンドレア・ブリオスコ（c.1470-1532）によって受け継がれ、ブリオスコもまた、彫刻家、建築家として活躍しました。

作品

ベッラーノは、彫刻、特にブロンズ像や大理石彫刻において、優れた作品を数多く制作しました。彼の作品は、ドナテッロの影響を強く受けつつも、独自のスタイルを確立しており、ルネサンス期の彫刻を研究する上で重要な資料となっています。彼の作品は、宗教的なテーマを扱ったものが多いですが、肖像彫刻や装飾的な作品も残しており、その多様な才能を垣間見ることができます。

ベッラーノの作品は、現在では世界各地の美術館や教会に所蔵されており、その芸術的な価値は今もなお高く評価されています。彼の残した作品は、ルネサンス美術を理解する上で欠かせないものであり、後世の芸術家たちにも大きな影響を与え続けました。

まとめ

バルトロメーオ・ベッラーノは、15世紀イタリアの彫刻界において、重要な役割を果たした芸術家です。ドナテッロの弟子としてその技術を磨き、独自のスタイルを確立しました。彼の作品は、その写実的な表現と、人物の感情を豊かに表出する点で、非常に優れています。ベッラーノの作品は、ルネサンス美術の豊かな歴史を物語る上で、欠かせない存在と言えるでしょう。

もう一度検索