バレンシア・デ・アルカンタラの戦い

バレンシア・デ・アルカンタラの戦い：七年戦争における奇襲作戦

バレンシア・デ・アルカンタラの戦いは、七年戦争中の1762年8月27日に勃発しました。ジョン・バーゴイン率いるイギリス＝ポルトガル連合軍が、スペインのバレンシア・デ・アルカンタラを奇襲し、占領に成功した戦闘です。この戦いは、スペインによるポルトガル侵攻に対する防衛戦略の一環として位置づけられます。

背景

七年戦争において、スペインはフランス側を支持し、ポルトガルに侵攻しました。まず、アルメイダを占領し、続いて挟撃作戦を展開。北からはガリシアを経由してドウロ川を渡りポルトを脅かし、南からはシウダ・ロドリーゴから侵攻しました。これに対し、イギリスはジョン・バーゴイン率いる約8,000人の援軍をポルトガルに派遣しました。

戦闘の経過

8月24日、シャウムブルク＝リッペ伯ヴィルヘルムは、スペインの補給拠点であるバレンシア・デ・アルカンタラへの攻撃を決意しました。彼はジョン・バーゴインを派遣し、およそ2,800人のイギリス＝ポルトガル連合軍（軽竜騎兵400人、イギリス歩兵6個中隊、ポルトガル擲弾兵11個中隊、榴弾砲2基、軽大砲2基）を率いさせました。バーゴインはアブランテスでテージョ川を渡河し、カシュテル・ディ・ヴィディでポルトガル歩兵100人、非正規騎兵50人、民兵40人と合流しました。

8月27日、45マイルの強行軍の後、バーゴインはバレンシア・デ・アルカンタラに到着。自ら騎兵を率いて奇襲を仕掛けました。不意を突かれたスペイン守備軍は抵抗できず、降伏。掃討戦により、近くのスペイン部隊の多くが捕虜となり、ほぼ全滅しました。町は無傷で占領され、代償として1年分の税金をトウモロコシで支払わせました。

戦いの影響

この勝利は、ポルトガル軍の士気を高揚させ、スペインの侵攻を頓挫させる要因となりました。バーゴインは、その功績により大きなダイヤモンドと奪ったスペイン軍旗を授与されました。その後、ヴィラ・ヴェーリャの戦いでもスペイン軍に勝利を収めています。

バレンシア・デ・アルカンタラの戦いは、七年戦争におけるポルトガル防衛において重要な役割を果たしました。連合軍の奇襲作戦が成功し、スペインの戦略に大きな影響を与えた事例と言えるでしょう。

参考文献

Jaques, Tony. Dictionary of Battles and Sieges. Greenwood Press, 2007
Kirby, Mike, The Portuguese Army - Seven Years War, Seven Years War Association Journal, Vol. XII No. 3
* Pereira Sales, Ernesto Augusto; O Conde de Lippe em Portugal, Vila Nova de Famalicao: Publicacoes da Comissao de Historia Militar, 1936, pp. 55–62

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