バンキンテル

概要

バンキンテル（Bankinter, S.A.）は、スペインの首都マドリードに本社機能を置く、同国を代表する金融サービスグループの一つです。主に銀行業務を中核に据えつつ、幅広い金融サービスを提供しており、マドリード証券取引所の主要銘柄として取引されています（銘柄コード: BKT）。

設立と初期の展開

その設立は1965年6月に遡ります。当初は、スペインのサンタンデール銀行と米国のバンク・オブ・アメリカがそれぞれ50%ずつ出資する形での合弁会社として誕生しました。社名である「バンキンテル」は、設立時の名称「Banco Intercontinental Español」の略称に由来しています。設立初期は、スペイン国内の工業部門の発展を金融面から支援する産業銀行としての役割を担っていました。

商業銀行への転換とデジタル化

設立から間もない1972年、バンキンテルは株式の公開を果たし、上場企業となりました。これを機に、事業モデルを産業銀行から、より広範な顧客層にサービスを提供する商業銀行へと転換しました。個人顧客や一般企業向けの預金、融資、決済といった多岐にわたるサービスを提供するようになります。さらに、テクノロジーの変化にも迅速に対応し、1996年には早くもインターネットバンキングサービスの提供を開始しました。

事業領域の拡大

バンキンテルは、オーガニックな成長に加え、M&A（合併・買収）戦略を通じて事業領域と地理的なプレゼンスを拡大してきました。2009年には、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドからスペイン国内の保険事業を取得し、金融サービスのポートフォリオを拡充しました。国際的な展開としては、2015年にイギリスのバークレイズ銀行がポルトガルで展開していた銀行事業を買収し、ポルトガル市場に参入しました。国内では、2019年にスペイン北西部を主な地盤とするインターネット専業銀行であるEVO Bancoを買収し、デジタルバンキング部門を強化しました。

近年の動向

近年のバンキンテルは、事業構造の効率化と新たな市場への挑戦を続けています。2024年には、傘下のEVO Bancoのブランドをバンキンテル本体のブランドへ統合する計画を発表し、ブランド戦略の見直しを進めています。また、アイルランド市場においては、これまで「Avant Money」というブランド名で住宅ローンや消費者金融サービスを提供してきましたが、新たにアイルランドでのインターネット銀行事業への参入計画を公表しており、デジタル金融サービスの提供範囲を広げていく方針を示しています。

バンキンテルは、スペインの主要な金融機関として、歴史を通じて事業形態を変化させつつ、デジタル化やM&Aを通じて国内外で多様な金融サービスを展開し続けています。

もう一度検索