バングラデシュの鉄道

バングラデシュの鉄道は、その歴史的背景から複雑な構造を持っています。この国の鉄道網は、イギリス植民地時代にインド帝国の一部として建設されたものが基盤となっています。1947年のインド、パキスタン、スリランカの分離独立により、鉄道網は分断され、さらに1971年のバングラデシュ独立を経て、現在の形態となりました。

現在、バングラデシュの鉄道は、国有鉄道であるバングラデシュ鉄道によって管理・運営されています。この鉄道網の大きな特徴は、東西で異なる軌間が採用されている点です。西部地域では、かつてコルカタ（カルカッタ）とダージリンを結んでいた鉄道の一部が残っており、1676mmの広軌が使用されています。一方、東部のダッカやチッタゴンなどの地域では、ミャンマーの鉄道と同様に、1000mmの狭軌（メーターゲージ）が採用されています。この東西の軌間の違いは、かつての植民地時代の名残であり、鉄道網の発展に制約をもたらす要因の一つとなっています。

かつて、東西の鉄道網はジョムナ川によって完全に分断されており、鉄道連絡船がその間を繋いでいました。しかし、2002年に鉄道道路併用のボンゴボンドゥー橋（ジャムナ橋）が完成したことで、三線軌条を用いてダッカ郊外まで広軌の列車が乗り入れるようになりました。この橋の開通は、バングラデシュの鉄道網にとって画期的な出来事であり、東西の連携を強化する上で重要な役割を果たしています。

2003年時点での総延長は2706kmで、そのうち広軌路線は884km、狭軌路線は1822kmとなっています。列車種別は、インターシティー（都市間列車）、エクスプレス（急行）、メイル（郵便）、普通列車の4種類があり、インターシティーにはエアコンが連結されています。電化区間はなく、現在では主に諸外国から購入したディーゼル機関車が使用されています。

インド国鉄との直通運転は、長らく貨物列車に限られていましたが、2008年4月14日に43年ぶりに旅客列車「マイトリー・エクスプレス（友情急行）」の運行が再開されました。これにより、コルカタとダッカの間が週2回、約12時間で結ばれるようになりました。

また、バングラデシュはイスラム教国であるため、多くの列車には礼拝室が設けられています。これは、国民の宗教的ニーズに応えるための配慮であり、バングラデシュの鉄道のもう一つの特徴と言えるでしょう。

バングラデシュの鉄道は、国内の重要な交通手段であるとともに、隣接国との関係を築く上でも重要な役割を担っています。インドとの間では、直通列車や貨物列車が運行されており、両国の経済交流を支えています。しかし、ミャンマーとの間には鉄道接続がなく、今後の課題となっています。



事業者

バングラデシュ鉄道
ダッカメトロ

隣接国との鉄道接続状況

インド - 接続あり
ミャンマー - 接続なし

関連項目

インドの鉄道
チッタゴン・サーキュラー鉄道

外部リンク

バングラデシュ鉄道公式サイト

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