バングラデシュ・オブザーバー

ザ・バングラデシュ・オブザーバーの歴史と影響

『ザ・バングラデシュ・オブザーバー』（The Bangladesh Observer）は、1949年にハミドゥル・フク・チョードリーによって創刊された、バングラデシュで最も歴史のある日刊英字新聞です。発行された期間は約61年に及び、最終的に2010年6月に廃刊となりました。これは、その経過とともに変わる社会情勢や政治状況の中で様々な表現や報道が求められた結果の一つでした。

創刊と初期の経過

『ザ・バングラデシュ・オブザーバー』は当初、名を『ザ・パキスタン・オブザーバー』（The Pakistan Observer）として知られ、独立した社論を維持することを極めて重要視していました。オーナーであるハミドゥル・フク・チョードリーと、編集長を長く務めたアブドゥス・サラムの影響が強く、彼らのリーダーシップは新聞自身の立ち位置に大きな役割を果たしました。特に、モハマド・シェハブラーが初代編集長としての役を担い、その後アブドゥス・サラムに受け継がれたことで、新聞は確固たる方向性を持ち続けることができました。

重要な出来事と発行停止

1952年、東パキスタン政府は、言語運動や自治拡大を強く支持する同紙を抑圧するため、公安法に基づき発行を差し止める決定を下しました。このとき、ハミドゥル・フク・チョードリーとアブドゥス・サラムは逮捕され、報道の自由が脅かされました。1954年、選挙で勝利した統一戦線政府が発行差し止めを解除したことは、報道の自由が回復した重要な瞬間でした。その後、1960年代初頭には、アユーブ・ハーン将軍の軍事政権によって再びブラックリストに載せられ、政府関係の広告は止められましたが、新聞はその立場を貫き続けました。

バングラデシュ独立後の変貌

1971年のバングラデシュ独立後、同紙は『ザ・バングラデシュ・オブザーバー』に改名し、1972年には経営権が国家に接収されました。これは、新聞が新たな国の消息を伝える重要な役割を担うことを意味していました。その後、1984年1月にはフセイン・モハンマド・エルシャド将軍による軍事政権により、再び元のオーナーの手に戻りました。

廃刊とその影響

最終的に、2010年6月8日、『ザ・バングラデシュ・オブザーバー』は廃刊を発表しました。この新聞は、バングラデシュのメディアや言論の自由の歴史において、数多くの試練を経て培われてきた象徴的な存在でした。その影響はいかに大きかったことでしょうか。新聞は、国の政治や社会の変革に深く関わり、多くの読者にとっての重要な情報源でした。廃刊の知らせは、多くの人々にとって、ひとつの時代の終わりを意味していました。

『ザ・バングラデシュ・オブザーバー』は、バングラデシュにおけるジャーナリズムの草分け的な存在として、その歩みを追うことで、国家の歴史をも振り返る貴重な材料となります。

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