バントゥー・ホロミサ

バントゥーボンケ・ハリントン・ホロミサ（Bantubonke Harrington Holomisa、1955年7月25日生まれ）は、南アフリカの政治家であり、特筆すべき経歴の持ち主です。彼は、1987年から1994年までトランスカイ・ホームランドの元首を務めました。トランスカイが南アフリカに再統合された後は、南アフリカの国会議員となり、統一民主運動（UDM）の党首として活躍しています。

トランスカイ時代

ホロミサは、現在の東ケープ州の一部であるトランスカイのムカンドゥリで生まれました。1976年にトランスカイ防衛軍に入隊し、着実に昇進を重ね、1985年には准将にまで昇りつめました。1987年10月には、クーデターを主導し、当時のトランスカイ首相であったジョージ・マタンジマを辞任に追い込み、亡命させました。さらに、その後継政権であるステラ・シグカウ政権も転覆させるという大胆な行動に出ました。同年12月には、ホロミサ自身がトランスカイ政府の元首（軍事評議会議長）に就任し、1994年に南アフリカに再統合されるまでその地位にありました。

このクーデターの背景には、南アフリカ政府の意向があったとされています。当時、マタンジマ政権は南アフリカからの離脱を図ろうとしており、南アフリカ政府はこれを阻止するためにホロミサを唆したという見方があります。しかし、ホロミサは政権を掌握した後、南アフリカからの離脱をより鮮明にし、アフリカ民族会議（ANC）寄りの姿勢を示すようになり、南アフリカ政府との対立を深めていきました。1989年には、トランスカイでANCを合法化し、同党の軍事部門の訓練も行うようになりました。1991年に憲法制定会議（CODESA）が開始されると、トランスカイはANC寄りの立場で交渉に参加し、1993年に複数政党交渉フォーラムが開始された際も、その立場を崩しませんでした。そして1994年4月27日、南アフリカで全人種選挙が実施されると同時に、トランスカイ政府は南アフリカに再統合され、その歴史に幕を閉じました。

南アフリカ時代

1994年の全人種選挙において、ホロミサはANCから出馬して当選し、国会議員となりました。同年には、同党の全国執行委員会委員にも選出され、南アフリカ共和国政府の環境・観光副大臣に就任しました。しかし、1996年5月、真実和解委員会でステラ・シグカウらANC幹部の大規模汚職事件を告発したことで、ホロミサの政治的立場は大きく変化しました。この証言によって、彼はANC内で孤立を深め、同年9月30日にANCから追放されるという憂き目に遭いました。

その後、ホロミサは1997年に、ANCの元幹部であったジョン・テイラー、そして国民党を離党していた元憲法開発大臣のロエルフ・メイヤーと共に、統一民主運動（UDM）を結党しました。1999年には、再び国会議員に選出され、現在に至ります。ホロミサとUDMは、ジェイコブ・ズマ大統領に対する不信任決議を数度にわたり支持しており、2017年8月8日にも不信任を支持しました。

また、ホロミサはカイザー・チーフスFCの熱狂的なファンであり、2015年にはラジオのインタビューでチームへの愛を語っています。

このように、バントゥーボンケ・ハリントン・ホロミサは、トランスカイの元首から南アフリカの国会議員へ、そしてANCからの追放、新党結成と、波乱万丈な政治人生を歩んできた人物です。

もう一度検索