バンドカノン1

バンドカノン1：スウェーデンが生んだ重自走砲

バンドカノン1（Bandkanon 1、略称Bkan1）は、スウェーデン陸軍が1967年から2003年まで運用した自走砲です。その運用当時、世界で最も重い自走砲の一つとして知られていました。

特徴

バンドカノン1は、その巨体にもかかわらず高い機動性を備えていました。エンジンには、より軽量な戦車Strv.103と同一のものが採用されていましたが、若干非力であると評されることもありました。しかし、特筆すべきはその発射速度です。搭載された50口径155mm砲は、45秒間に14発という驚異的な速さで射撃が可能でした。さらに、1発を事前に装填し、2組の7連装弾倉を使用することで、45秒間に15発の発射を実現し、これが公式な世界記録となりました。弾倉の再装填は、給弾用クレーンによって約2分程度で完了しました。砲弾は1発あたり47kgで、有効射程は25kmに及びました。

配備と運用

当初、70両の生産が計画されていましたが、防衛予算の削減により、実際に生産されたのは26両にとどまりました。これらの車両は、ノールランドの師団砲兵として配備され、ボーデン砲兵連隊（A8）、そして後にノールボッテン連隊（I19）で使用されました。1980年代後期までは、それぞれ12両ずつで2個大隊が編成されていましたが、2003年の退役時には、8両ずつの3個大隊体制となっていました。

開発の経緯

バンドカノン1の開発は、KRV計画の中止後、その台車を基に「artillerikanonvagn 151」(akv151)という名称でランズベルク社で開始されました。この構想が有望と判断されたため、国防需品管理局の監督下で再設計が行われました。駆動装置はStrv.103と同じものが採用され、主砲はボフォース社によって製造されました。

バリエーション

バンドカノン1には、初期型として単にバンドカノン1、後にバンドカノン1Aと改称されたものと、1980年代に近代化された改良型であるバンドカノン1Cの2つの型式が存在します。両者の主な違いは、Strv.103のC型に導入されたものと同様の駆動装置の採用、給弾用クレーンの取り外し、そして照準、位置取り、航法のためのPOS 2射撃管制装置の導入です。

バンドカノン1は、その独特な設計と高い発射速度で、冷戦時代におけるスウェーデン防衛の重要な一翼を担いました。

画像

出典

Persson, Mats (2000). Pansarfordon.
Wennberg, Robert (1998). Bandkanonvagn 1A.
* N/A, (1998). Artilleri och Granatkastare - Bandkanon 1 A.

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