バンドストップフィルタ

バンドストップフィルタ（band-stop filter）は、特定の周波数帯域を減衰させるフィルタ回路であり、帯域除去フィルタ（band-rejection filter）とも呼ばれます。このフィルタは、ほとんどの周波数成分をそのまま通過させる一方で、特定の周波数帯域のみを大幅に減衰させる特徴を持ちます。これは、特定の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタとは逆の動作をします。

特に、阻止帯域が非常に狭い（Q値が高い）バンドストップフィルタは、ノッチフィルタ（notch filter）と呼ばれます。ノッチフィルタは、その狭い阻止帯域を利用して、特定の周波数成分をピンポイントで除去するのに適しています。例えば、放送設備（PAシステム）や楽器用アンプ（特にアコースティックギター、マンドリン、コントラバスなどの楽器）では、他の周波数成分に影響を与えることなくフィードバックを抑制するために使用されます。フィードバックとは、スピーカーから出た音がマイクに再び入力されることで発生するハウリング現象のことで、ノッチフィルタはこの問題を効果的に軽減できます。

バンドストップフィルタは、その特性から、バンドリミットフィルタ、Tノッチフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ（band elimination filter, BEF）、帯域阻止フィルタなど、さまざまな名称で呼ばれることがあります。これらのフィルタは、基本的に同じ動作原理に基づいていますが、用途や特性に応じて名称が使い分けられています。

阻止帯域の幅は、通常、周波数軸で10倍になる区間（decade）で1つか2つ以下とされています。これは、阻止したい帯域の最高周波数が最低周波数の10倍から100倍以下であることを意味します。特に低周波数の領域では、阻止帯域が半音程度の非常に狭いノッチフィルタが用いられます。この種のフィルタは、特定の周波数成分を正確に除去する必要がある場合に有効です。

例えば、音声信号に含まれるハム音を阻止するフィルタは、59Hzから61Hzの帯域を阻止するように設計されます。これは、60Hzの送電線から発生するハム音を除去するためのものです。ただし、このフィルタでは、ハム音の倍音成分を完全に除去することはできません。同様に、送電周波数が50Hz（東日本やヨーロッパ）の地域では、49Hzから51Hzの帯域を阻止するフィルタが用いられます。

また、パワーアンプの非線形性を測定する際には、非常に狭いノッチフィルタが使用されます。このフィルタは、搬送波を阻止することで、スペクトラムアナライザの最大入力電力を超えないようにするために用いられます。これにより、測定対象の微弱な信号成分を正確に解析することが可能になります。

このように、バンドストップフィルタ、特にノッチフィルタは、特定の周波数成分を除去するための非常に重要なツールであり、さまざまな分野で幅広く利用されています。

関連するフィルタとしては、特定の周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタ、高周波成分を通過させるハイパスフィルタ、低周波成分を通過させるローパスフィルタがあります。また、ハム音は、電気回路や電源線から発生する低周波ノイズであり、バンドストップフィルタによって効果的に除去できます。イラネッチケーは、NHKの受信契約に関する問題で、特定の周波数帯域の電波を遮断するフィルタとは直接的な関連性はありませんが、電波の利用という点で関連付けられることがあります。

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