バンドマン喜歌劇団

バンドマン喜歌劇団の歴史

バンドマン喜歌劇団は、イギリスの興行師モーリス・バンドマンによって編成された劇団で、明治から大正時代にかけて日本で12回の来日公演を行いました。彼は著名な俳優夫婦の息子として1892年にニューヨークで生まれ、イギリスで演技の修業を重ねた後、興行の世界に足を踏み入れます。バンドマンはカルカッタで劇場を経営し、旅興行の一座をロンドンから発信させ、アジアやヨーロッパ各地での公演を展開していきました。

バンドマン喜歌劇団は、1906年から1921年までの間、日本をほぼ毎年訪れました。最初は神戸と横浜での公演が中心でしたが、時間と共に東京へも進出し、1912年からは新たに開場した帝国劇場でも舞台を披露しました。一座が上演したのは当時のイギリスやアメリカで人気のあったミュージカル・コメディで、日本での上演は全て英語で行われました。

当時の日本人が英語をどれほど理解できていたのかは不明ですが、バンドマン喜歌劇団が日本のオペラ文化に与えた影響は認められています。特に1917年に浅草オペラが旗揚げした際、その背景にバンドマン喜歌劇団の存在があったとされています。オペラ好きの徳川頼貞は、父親を説得して友人たちと共に観劇し、英語の勉強にも繋がったと言われています。

バンドマンは1922年、ジブラルタルで49歳の若さで亡くなりましたが、彼の一座はその後も1930年代後半まで活動を続けました。バンドマン喜歌劇団の来日公演は数々の演目から成り立っており、以下にいくつかの公演内容を示します。

来日公演の概要

1906年

• - 5月14日-16日: 神戸体育館で「伯爵と女」「闘牛士」「おてんば娘」
• - 5月19日-6月2日: 横浜PHで「おてんば娘」「伯爵と女」「青二才」等

1907年

• - 9月3日-6日: 神戸体育館で「メイフェアの美女」「ブルー・ムーン」等
• - 9月9日-14日: 横浜PHで「メイフェアの美女」「バースの美人」等

1908年

• - 4月25日-27日: 神戸体育館で「ゴッテンベルクの女」「メリー・ウィドー」
• - 4月29日-5月18日: 横浜PHで「ゴッテンベルクの女」「オランダのミス・フック」等

1909年

• - 7月13日-15日: 神戸体育館で「陽気なゴードン」「ワルツの夢」
• - 7月19日-26日: 横浜ゲーテ座で「陽気なゴードン」「メリー・ウィドー」等

他にも多種多様な演目が公演され、特に神戸や横浜といった主要な都市でのパフォーマンスは多くの観客を魅了しました。バンドマン喜歌劇団の公演は、当時の日本における西洋音楽や演劇文化の発展に寄与し、後のオペラやミュージカルの繁栄へと繋がっていったのです。この業績は、当時の日本におけるエンターテインメントの境界を広げ、新しい文化の受容を促す大きな役割を果たしました。

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