バンド・オブ・ジプシーズ

バンド・オブ・ジプシーズ

「バンド・オブ・ジプシーズ」は、伝説のギタリストでありシンガーであるジミ・ヘンドリックスが1970年にリリースしたライブアルバムで、彼の生前に発表されたアルバムとしては最後の作品となっています。このアルバムは、ジミがエクスペリエンスを解散した後に結成した新たなバンド、バンド・オブ・ジプシーズによって制作されました。

ジミ・ヘンドリックスは、ウッドストック・フェスティバル出演を経て、全メンバーがアフリカ系アメリカ人で構成されたバンド・オブ・ジプシーズを結成しました。彼の無名時代に契約していたPPXエンタープライゼイズとの契約問題により、キャピトル・レコードからアルバムを発表する必要が生じ、この作品はその結果としてリリースされました。本作は当初、アメリカで先行発売され、イギリス版は従来通りトラック・レコードから発売されました。

バンドのリハーサルは1969年12月に行われ、その音源の一部は2002年にダガー・レコードから「The Baggy's Rehearsal Sessions」というタイトルでCD化されました。年末の12月31日から翌年の1月1日にかけて、ニューヨークのフィルモア・イーストで連続公演が行われ、本作にはそのうちの1月1日のパフォーマンスの一部が収められています。バンド・オブ・ジプシーズの音楽スタイルは、ファンクなどのブラック・ミュージックの影響を強く受けており、特にアフリカ系アメリカ人のメンバーによるもので、社群の文化を色濃く反映しています。

しかし、1970年1月28日のライブを最後に解散となり、ジミはその後もビリー・コックスやミッチ・ミッチェルを伴って活動を続け、解散前のバンドの楽曲を引き続き演奏していきました。

アルバムのジャケットデザインは、アメリカ盤がジミの写真を使用し、後にリマスター版もアメリカ盤に基づいています。イギリス盤の初回ジャケットは、ジミと友人たちを模した人形の写真が特徴であり、日本盤も同様のデザインを採用していました。この人形はギターを右利きの持ち方で持っているのが特徴で、特に日本でCD化された時期には一時的にこのデザインが使用されました。

ジミ・ヘンドリックスの死後、音源を管理していたアラン・ダグラスは1986年に続編「バンド・オブ・ジプシーズ2」をリリースしましたが、このアルバムの中にはバンド・オブ・ジプシーズ解散後の音源が多く含まれていました。また、1999年に発売された「ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト」では、2日間の公演から16曲が収録されましたが、それも完全なものではありませんでした。さらに、2016年には初日の公演を完全収録した「マシン・ガン：ザ・フィルモア・イースト・ファースト・ショー」、2019年には全公演をまとめた「バンド・オブ・ジプシーズ：コンプリート・フィルモア・イースト」がリリースされるなど、ジミ・ヘンドリックスの音楽は今でも多くのファンに親しまれ続けています。

収録曲

• - フー・ノウズ - Who Knows
• - マシン・ガン - Machine Gun
• - チェンジズ - Changes (Buddy Miles)
• - ソウル・パワー - Power Of Love
• - 恋のメッセージ - Message To Love
• - リヴ・トゥゲザー - We Gotta Live Together (B. Miles)

参加ミュージシャン

• - ジミ・ヘンドリックス - ギター、ボーカル
• - ビリー・コックス - ベース
• - バディ・マイルス - ドラムス、ボーカル

このアルバムは、ジミ・ヘンドリックスにとって重要な作品であり、彼の音楽に対する独特のアプローチと影響が色濃く反映されています。

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