バーゼル条約

バーゼル条約とは

バーゼル条約（英語: Basel Convention）は、正式な名称を「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」とし、国際的に有害廃棄物の管理を規制する重要な法律です。本条約は1989年3月にスイスのバーゼルで国連環境計画（UNEP）により採択され、1992年5月に発効しました。これまでに181か国、さらにEUおよびパレスチナが締約国となり、環境保護への取り組みを強化しています。

条約の目的

バーゼル条約の主な目的は、国境を越える有害廃棄物の移動を規制し、その適切な処分方法を確立することです。ごみ処理に手間がかかる有害物質が、不法に途上国に廃棄されることを防ぐための国際的な枠組みを提供しています。日本も1992年に「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」通称「バーゼル法」を制定し、同年に条約に加盟しました。

主要な内容と規定

バーゼル条約は前文、人類の健康と環境を保護するための29か条の本文、そして9の附属書から構成されています。その中でも、日本ではブラウン管や使用済ニッケル電池、カドミウム電池などが有害廃棄物として規定されています。2019年には、廃プラスチック類も規制対象に追加されました。

日本における実施

日本においては、外務省地球環境課が中央連絡先として、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課が権限のある当局として、バーゼル条約に関する業務を担当しています。条約に基づく通報などの業務を遂行するために、ジュネーブに事務局が設置されています。

背景

この条約が設立されるに至った背景には、1976年に発生したイタリアのセベソ事件が大きな影響を及ぼしました。この事件では、猛毒が漏れ出し、周辺の住民や環境に甚大な被害がもたらされてしまいました。その後、1988年には、イタリアからナイジェリアに持ち込まれた有毒廃棄物の不法投棄が問題視され、環境への影響が深刻化しました。これらの事件を受けて、OECDおよびUNEPは、この条約の必要性を認識し、具体的な協議が始まりました。

まとめ

バーゼル条約は、国家間での有害廃棄物の不法な移動を防ぎ、環境と人類の健康を守るための国際的な取り組みの基盤を提供しています。国際的な協力が求められるこの問題に対し、各国は条約を遵守し、持続可能な廃棄物管理に取り組む必要があります。

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